2020.06.02
新型コロナウィルス対策特別委員会は、感染者が減少したことによりサーキットブレーカー(CB)が終了する6月1日以降に講じられる、安全な日常を取り戻すための3つの段階的処置を発表した。これは決して新型コロナウィルス以前の生活を取り戻すというものではなく、私たちは今後安全な生活を送るために「New Normal(新生活様式)」に対応する必要がある。
【Phase1】
・6月2日より施行。未だコミュニティ内での感染再燃のリスクがある為、注意深く徐々に規制解除を行う必要がある。よってまずは感染リスクが高くない経済活動の再開を始めとする。より高いリスクを伴う社会的、経済的活動および娯楽活動は引き続き禁止。全ての国民は不要な外出を控え、外出の際はマスクを着用する事。高齢者は特に外出をしない事。
・職場、学校活動を再開する人々は安全対策を実施し、リスクの最小化に努めなければならない。
◆職場での安全対策
[通常業務の再開]
・現在、業務を許可されている企業に加え、
・多くの製造業(製造業向けのガイドラインに従うこと)
・ほとんどのオフィスワーク。ただしテレワークが可能な企業は続行し、作
業上必要な場合のみ職場に行く事。(契約作業や自宅からは接続できない特別なシステムへの接続など)
・特定のサービス(自動車整備、エアコン整備、基本的なペットサービス、学校の書店、および制服を販売する小売店)、美容院や理髪店、配達および受け取りにより行われる在宅サービス。
※6月2日より再開可能な業種リストはこちら
※リスト内の業種は、免除申請を行う必要はない
[管理義務]
雇用主は、従業員への安全管理対策を実施し、従業員はそれを遵守する必要がある。(抜き打ちのチェックがあるので注意)。管理対策が出来てない企業は職場を閉鎖。
小売店や個人向けサービスは引き続き再開は出来ない。レストランは店内での飲食は引き続き禁止される。
事業を再開する企業は、営業再開日から2週間以内に、GoBusiness portalから活動詳細を提出する必要がある。
事業活動の段階的な再開に関する通商産業省(MTI)からのアドバイスはAnnex Bを参照。
◆家およびコミュニティでの安全対策
[活動制限]
・引き続き同居家族以外との接触を控える必要がある。
・離れて暮らす家族などのサポートが必要な場合などは往来可能。(訪問は一日一回、同訪問世帯からの訪問は2名以下に制限)
・保護者や祖父母の家で育児のために子供を預けることも許可されるが、同じ訪問世帯から1日あたり2人の訪問者という同じ制限が適用。訪問時には全ての人が衛生習慣を遵守すること。
[実施許可]
・参加者10名までの結婚式、礼拝所(1度に最大5名までの個人礼拝のみ)、10名以下のお通夜、葬式は引き続き可能。
その他、重要ではない活動や集まりは引き続き禁止。
スポーツ、レクリエーション施設は閉鎖。
◆学校の安全対策
幼稚園・保育園(プレスクール)は6月2日以降徐々に再開され、10日までには完全に再開。(両親が仕事から戻るまでの間、子供を安全にケアするため)
初等・中等教育の学生達は日々の学校活動が再開されていくが、その他の学生は毎週自宅学習Home-Based Learning (HBL)と通学をローテーションして行く。
Junior Colleges(高校に相当)とMillennia Institute(予備校に相当)では、生徒の半数がいつでも学校に戻るように手配。高等教育機関(IHL)のセッションクラスの学生は、キャンパスにて実習および研究所でのセッションを行うことができ、講義はオンラインのまま実施。学校やキャンパスでは、すべてのスタッフと生徒がマスクまたはフェイスシールドを着用する必要がある。詳細情報は、教育省(MOE)とそれぞれの教育機関から提供。 習い事スクール、学習塾、補習校や家庭教師(Co-Curricular Activities, enrichment activities、tuition)などは集団を作るため再開は不可。学生支援センターは6月2日以降完全に再開。
◆安全対策ケア
専門の外来サービス、医療処置、関連保健サービス、地域密着型サービス、慢性疾患管理などが再開、治療の必要性と対応可能なキャパシティに基づいて医療提供者が判断し、適切で安全な距離で予防措置を行う。
例えば、高度な白内障の手術、重度の障害を持つ患者の関節手術、がん検診、高リスクグループを含む監視サービス、エアロゾルの発生を最小限に抑えるガイダンスに従って行われるデンタルケア、糖尿病患者の検診など。
[営業再開]
・インフルエンザ予防接種などの予防医療サービス、補完的な医療サービス(1
対1の診察が予約制のみ)、伝統的な中国医学(TCM)の鍼治療。
・高齢者サービスと高齢者中心の活動の範囲を制限する現在の措置は残る。ただし、シニアアクティビティセンター(老人ホーム)は、安全で管理された方法でその一部を徐々に再開。
・障害者向けの地域密着型のセンターサービスも、安全な距離で必要とする人々にサービスを提供するために徐々に再開。必要に応じて、活動は少人数で行われ、持病のある人は自宅に留まり、在宅サポートを受けることが推奨される。スタッフは、マスクの着用、良好な衛生状態の維持、活動用具および共有スペースの定期的な清掃の確保など、必要な予防措置を引き続き遵守すること。詳細については、各機関およびセンターから提供される。
関連記事:
・PHASE2移行に向けて
・「親愛なるシンガポールの皆さん」リー・シェンロン首相の演説(日本語訳)
【Phase2とPhase3】
特別委員会は、Phase1の活動の再開に伴って上昇すると予想される日々の感染者数を監視する。コミュニティの感染率がその後数週間にわたって低く安定していて、寮の状況が管理されている場合は、Phase2(「Safe Transition」)に移行し、徐々に活動が再開される。
Phase2では、少人数での社会活動を許可する予定。飲食店(店内飲食)、ジム、フィットネススタジオ、家庭教師、学習塾および習い事スクールなどはじめとする、より多くの企業やビジネスが、これらの雇用者や従業員によって安全な管理措置が実施されることを条件として、徐々に再開することが許可される。ただし雇用主は、従業員が引き続き可能な場合は、在宅勤務させる必要がある。状況次第では、全ての学生が完全に学校に戻り、IHLは一度の対面学習のためにキャンパスに戻れる生徒数を増やしていく。スポーツ、レクリエーション、屋外施設も(施設の従業員と顧客の両方が安全に管理されていることが条件)再開し始める。
新型コロナウイルスの状況とリスク査定に応じて、Phase3(「Safe Nation」)の新しい正常状態(新型コロナウイルスの治療法が開発されるまで継続)に到達するまで、対策を段階的に緩和し続ける。この頃には、社会的、文化的、宗教的またはビジネスでの集まりやイベントが再開されるが、大規模なクラスターの発生を防ぐ為に、集会の規模を制限する必要がある。高齢者は、安全な距離のルールを遵守し、ピーク期間の旅行や、混雑した場所へ行く事、および大規模なグループ行動を回避する形で、日常活動を再開することができる。
長時間にわたる密接な接触が場所(スパやマッサージ店など)重大な大群集の管理リスクを伴うサービスやアクティビティ(映画館、劇場、バー、パブ、ナイトクラブなど)も、厳格な安全管理措置を効果的に実施が可能な場合は、再開することが許可される。3つのフェーズで実施される予定の概要については、AnnexCを参照する事。
◆安全に活動を再開する
仕事や学校に戻る人が増えるにつれて、公共交通機関を利用するようになる。企業は、従業員のピーク時の移動を最小限に抑えるために、勤務時間をずらす必要がある。しかし特にピーク時には、通勤者間の物理的な安全距離を確保することは困難であるだろう。従って、新たに公共交通機関での安全管理政策を実施する。特に、通勤者はマスクを着用し、お互いまたは携帯電話で話すことを控え、良好な個人衛生を維持する必要がある。交通機関運営会社もバスと列車の洗浄を強化し、露出する表面への抗菌コーティングを行う。
私たちは、シンガポール人が海外で重要な活動を行う為、または外国人のシンガポールへの入国やトランジットの為の安全な旅行できるように国境を徐々に再開する。私たちは、必要な予防措置と防衛手段を備える慎重な方法でこれらを行う。世界的な状況は不安定なままであるため、このような動きは、上記で概説した再開のための3つの大きなフェーズのタイミングとは別に査定され実装される。たとえば、シンガポールは現在、集団感染のリスクが同等またはそれより低いと評価されている数カ国で、試験的に往来を実施できる可能性を模索している。世界的な状況が改善するにつれて、このような取決めを徐々に拡大して行くことを検討する。
次のPhaseに移行したり、各Phase内の特定の対策をさらに緩和にするための重要な前提条件は、各Phaseにて、その後発生する状況を制御および封じ込める機能を向上させているかどうかという事。したがって、私たちは次の分野で能力を構築し続けていく。
【テスト能力の向上】
•症状を早期に診断し、リスクのあるすべての個人を検査し、より脆弱なグループを保護する機能により、テスト能力を向上させる。また、まだ未発見の患者の発見に務める現在進行中の監視体制を強化する。 2020年5月17日の時点で、新型コロナウィルスのテストは29万回以上(国内人口10万人あたり約5,100回)実施されている。この中には、約22,000人の居住者と在宅ケア施設のスタッフ、および寮の約82,000人の移民労働者のテストが含まれる。
さらにプレスクール(幼稚園・保育園)でのテストも開始し、これまでに約8,500人のスタッフが綿密に検査されている。
•感染者に接触した人の特定と隔離を行うため、接触者追跡のスピードを上げていく。接触者を検出すると、その個人をすばやく特定し、彼らに隔離する必要があることを通知できるようにする。これは、事態を制御しクラスターが形成される可能性を減らすのに役立つ。そして
新型コロナウイルスの潜在的な急増に対処するために十分なヘルスケア能力を確保していく。保健省(MOH)は、シンガポール人と移民労働者を含む全ての住人(仲間たち)が、新型コロナウイルスと診断されてから退院するまで必要な医療を受けられるようにする。
【シンガポールを非新型コロナウイルスにするための協力】
多くの人々が職場に戻るか、社会活動に参加するにつれて、ウイルスが人々の間で広がる機会が増え、地域感染のリスクが高まります。シンガポールを非新型コロナウイルスにするために、すべてのシンガポール人と居住者が果たすべき役割がある。
【個人および家族】
私たちは、今までの個人習慣の変化と新しい社会規範の導入を通して、日常全てに清潔さと高い衛生レベルの維持を行う事で、各々がより大きな社会的責任感を養う必要がある。これは、新型コロナウイルスに対する最も強力な防御策である。外出時の常時のマスクの着用(これは必須)だけでなく、私たちは常に個人の清潔を保ち、頻繁に石鹸で手を洗う必要がある。食事をするときは、食べ物や食器を共有しない事(行う場合は、別の食器を使用)。ホーカーセンター、コーヒーショップ、フードコートでは、食後はトレイや食器を片付け、他の人のためにテーブルを清潔に保つ必要がある。病気になったときは、家に留まり、仕事に出かけたり、社会活動に参加したりしない事。
自分や他の人を守るために、人との安全な距離を確保し、混雑した場所を避け、家の外で過ごす時間を最小限に抑える必要がある。可能であれば、家族間では可能な限りオンラインなど、物理的な接触のない手段で連絡を取り続け、不必要な社交的な集まりを避ける事。家庭内では、高齢者やその他や対ウイルス弱者に特別な注意を払い、たとえば、彼らに食料品やその他の必需品を持って行く事で、彼らが家を離れる必要がないようする事。
感染接触者の追跡とクラスターの特定を容易にするために、TraceTogetherをダウンロードして使用し、SafeEntryが設定されている場所では、それを使い施設のチェックインとチェックアウトを行う必要がある。
私たちの多くは、新型コロナウイルスの状況により、感情的または心理的に不安定になる可能性がある。あなたが抱えているそのような問題について誰かと話す必要がある場合は、1800-202-6868のNational CARE Hotlineに遠慮なく電話する事。
【雇用主および企業向け】
雇用主はさらなる混乱に対し、従業員を保護し、ビジネスの回復力を強化する安全管理措置のシステムを実施する必要がある。これには、在宅作業(リモートワーク)、勤務時間の変更、シフト制または社内でチームの分割、安全な距離の確保、共有機器や接触部分への定期的な消毒、洗浄消毒剤の用意、および物理的な会議の回避(ビジネスと社交の両方)の実施が含まれる。
雇用主はまた、従業員の健康を監視し、症例が発生した場合の避難計画とフォローアップ計画を立てる必要がある。企業は、この対策システムを実装するために安全管理責任者を任命する必要がある(安全管理対策についてはMOMのウェブサイトを参照。
また企業が関連する分野に応じて、企業はそれぞれの機関が発表したセクター毎の固有の要件を遵守する必要がある。
https://covid.gobusiness.gov.sg/safemanagement/general
企業は、長時間で密着(接触)を伴う活動を回避することによって労働者の安全を確保し、共同スペースを含め、職場や食事や休憩時間に集団で集まったりしないようにする必要がある。従業員は、職場外での社交を控えるなど、職場内外でのこれらの安全管理対策を遵守することにより、その役割を果たさなければならない。企業は、テクノロジーを活用して安全管理対策の実施を支援することが推奨される。企業は責任ある方法で行動し続けるべきであり、大勢の従業員または顧客を集めてしまう可能性のあるイベントを計画または組織してはならない。
【学生】
学生は、それぞれの機関が定めた要件に基づいて開校が承認された場合にのみ、その学校やその他の教育機関に戻る事ができる。学校では、生徒はそれぞれのクラスに留まり、休憩時間や休暇期間などに、他のクラスの生徒と集まったり交流する事するのを避ける必要がある。生徒は、学校や学校関連の活動の後には直接家に向かい、混雑した場所を避け、寄り道をしたり、他人と集まったりしない事。
【高齢者】
高齢者は、家に留まり家族や友人とは可能な限りオンラインなど物理的な接触がない形での連絡を取り合い、引き続き活動を行う事。高齢者を訪問するその家族は個人の良好な衛生状態を保ち、可能な場合は安全な距離を保つための措置を引き続き行う必要がある。また体調が悪い場合は、高齢者と身体的に触れないことが非常に重要である。支援を必要とする高齢者と介護者は、1800-650-6060に統合医療機関に電話すること。
日常業務のためにデジタルテクノロジーの使い方を学ぶ助けが必要な高齢者は、Stay Healthy、Go Digitalキャンペーンの一環としてInfocomm Media Development Authorityが新たに立ち上げたデジタルポッドと仮想デジタルクリニックを利用してほしい。これら高齢者向けのオンラインエンターテインメントと学習コンテンツは、高齢者向けに分かりやすく、維持視聴できるように作られている。 Channel 8の新しいシーズンのバラエティ番組「Learn Together with Me」では、家族とのビデオ通話や、医師とのオンライン診断などのデジタルサービスを使用する際のコツを教えてくれる。5月25日〜29日からはマレー語とタミル語での同様のトピックに関するポッドキャスト(MeListen)で利用可能。詳細については、imsilver.imda.gov.sgを参照。
【SGユナイテッド、より強く、より安全なシンガポール】
新しい非新型コロナウイルス環境への道のりは長いかもしれない。しかし、誰もが自分の役割を果たし、団結し続けることで、私たちはこれを乗り越え、この経験からより強くなることができる。 #SGUnited
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