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2019.09.20

シンガポール保健省(MOH)の押さえておきたい医療ニュースをお届け。今回は島内で流行しているデング熱についての症状、予防法などの基礎知識を紹介。

デング熱とは?
デングウィルスに感染した蚊に刺されることによって人に感染する疾患で、シンガポールを含め、世界中で4つの血清型のデングウィルス(DENV1-4)が流行している。したがって、最大で4回デング熱に感染する可能性がある。初めてデング熱に感染した場合や、高齢者、持病持ちの方は深刻化することがあり、繰り返しデング熱に感染した場合の重篤化も関連している。デング出血熱およびデング熱ショック症候群は致命的となり得るため、WHOでは国立環境庁(NEA)と共に、シンガポール内でのデング熱関連の死亡ケースを追跡し、4半期ごとに報告をしている。

どのようにしてデング熱が伝染するのか?
デング熱は感染性のネッタイシマカに刺されることによって伝染する疾患だ。蚊はデング熱に感染している人の血を吸うことによって感染し、8〜12日の潜伏期間を経て感染性になる。このとき蚊は寿命がつきるまで感染性のままである。人が感染性の蚊に刺されたとき、3〜14日の潜伏期間(多くは4~7日)のあとに症状を発症することがある。デング熱感染症の75%は無症状で、人から人に感染することはない。

デング熱の症状
• 急な発熱(2〜7日)
• 激しい頭痛、後眼窩痛
• 関節痛、筋肉痛
• 発疹
• 吐き気、嘔吐
• 軽度の出血(鼻や歯茎からの出血、あざなどの症状は通常蚊に刺された3〜14日後、多くは4〜7日後に現れる)

デング熱のリスク
まれにデング熱がデング出血熱やデングショック症候群に進行することがある。これらは重症型の感染症で、最悪死にいたることもある。
症状は下記の通り:
• より深刻な出血(歯茎からの出血、鼻血、皮膚や内蔵への出血、黒色便)
• 血漿漏出 (腹痛、持続的な嘔吐)
これらの症状は治りかけのときに発症するケースがある。

デング熱の予防策
虫よけスプレーを使用したり、肌の露出が少ない服を着ることで蚊に刺されるのを防ぐことができる。また、蚊帳を吊った部屋や網戸のある部屋、または蚊が入らないようにエアコンをつけた部屋で寝るのも効果的。生活環境を見直すことが、デング熱の蔓延を防ぐのに有効だ。デング熱を媒介するネッタイシマカは、独特の白黒の縞模様の体をもち、清潔で停滞した水で繁殖することを好む。そのため、頻繁に溜まった水をチェックして取り除くことによって、デング熱の広がりを防ぐ事ができる。ネッタイシマカの繁殖を防ぐためのより多くのアドバイスについてはNEAのウェブサイトを参照。保健科学庁(HSA)は、12〜45歳の個人に利用可能なデング熱ワクチンを承認した。デング熱ワクチンに適しているか、医師に相談することができる。

デング熱にかかったと思ったら?
デング熱の可能性がある場合、すぐに医療機関で受診すること。

デング熱の治療方法
デング熱やデング出血熱、デングショック症候群に有効な治療法が無いため、早期に適切な治療を受けることが必要だ。より重症化した場合は体液、電解質の補給、輸血などの積極的な緊急治療のために入院することがある。

MOHウェブサイトより転載
 

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