2020.07.30
~シンガポール人が教えてくれるローカル情報~
シンガポールで見かける不思議なことや疑問をTMLSジャパンデスクのドミニクさんが教えてくれます。
HDBのボイドデック
今回はシンガポール人の約80%が住んでいるといわれているHDBでの暮らしについてご紹介したいと思います。
HDBの近くを通りかかったり、シンガポール人のご友人がいる方は家に招かれてHDBを訪れたことがあるかもしれません。その特徴的な構造について気になったことはありませんか。HDBのほとんどは1階部分には住居がなく、ちょっとしたホールがある構造になっています。この1階部分の空間は「ボイドデック」と呼ばれるHDB特有のものです。日本の団地やマンションではあまり見かけないこの空間ですが、地域の憩いの場として利用され、テーブルとイスが設置されていたり、卓球台が置かれていたりすることもあります。子どもたちは学校が終わると近所の友達とボイドデックに集まってお菓子を食べながらゲームをしたり、大人も友達同士や近所の人と集まってゴシップで盛り上がったりしています。
その他に、HDBのボイドデックはシンガポールの慶弔行事でも重要な場所です。マレー系の人たちは結婚式をボイドデックで行うことがあります。マレー系の文化ではもともと、結婚式の際に料理などの準備は全て地域の人たちが一緒に参加して行っており、HDBでの暮らしに変わっても、コミュニティの中で結婚式を行うという風習が残っています。中華系の文化ではお通夜を行う場所の一つがボイドデックです。多くの場合は亡くなった方やその家族の住んでいるHDBのボイドデックがお通夜の場所となります。亡くなった方にとって慣れ親しんだ居心地の良い場所だからかもしれません。
このようにHDBにあるボイドデックは地域の人々をつなげる役割を果たしていますが、最近のHDBではボイドデックが設けられていないこともあるようです。少し寂しい気もしますが、日本の都心部での暮らしのようにシンガポールもプライバシーが重視され地域との関わりが薄れていく傾向にあるのかもしれません。
普段、何気に通り過ぎてしまうHDBですが、もし機会があればどんなことが行われているのかローカルの暮らしを覗いてみると面白いかもしれません。
Financial Planning Manager
ドミニク・ウォンさん
香川県高松でのホームステイ経験があり、日本語が堪能。おもてなしの心を大切にするファイナンシャルアドバイザー。
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