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2020.02.28

~シンガポール人が教えてくれるローカル情報~

シンガポールで見かける不思議なことや疑問をTMLS ジャパンデスクのドミニクさんが教えてくれます。



最近友人から、「たまにHDBに大きなテントと中国語の派手な旗が立っていて、お祭りのようなイベントをしているのを見かけることがあるけど、あれは一体なに?」と質問されたので、今回はその派手な旗、大きなテントで開催されるイベントとその文化的背景についてお伝えしたいと思います。実は、シンガポール人でも知らない人もいるのですが、これは東南アジアの中華系コミュニティーにまだ一部が残っている民間宗教 -「 タンキー(童乩)」と関連してるイベントです。

出典:SUPERNATURAL CONFESSIONS
(www.supernaturalconfessions.com)

タンキー(童乩)は主に中国福建地域をルーツとする数千年の歴史を持つ民間宗教で、シャーマニズム*に近いものです。昔の中国では、祈祷行事は皇帝しか執り行えないものでした。皇帝が代表として「天」にお祈りをして、一般庶民は自分の悩みや祈りを「神様」に直接ささげることができなかったそうです。その後いつからか庶民の間でそれぞれが信仰している「神様」をシャーマンの体に直接呼びだして祈るというシャーマニズム的宗教が始まりました。それがタンキーです。道教とも関わりのある宗教であり、タンキーの主な活動は、中華文化によく登場する観音様や関羽などのキャラクターが「神様」として降りてきて、庶民の悩みを解決し、悪霊を追い払う儀式などを行うことです。シンガポールで中華系文化の生活の中に溶け込みながら小規模に活動しており、神社やお寺などはなく、基本的にHDBのコミュニティーの一角で活動している場合が多いです。

*神霊や祖先の霊などと、シャーマン(=みこ)を仲立ちとして心を通わせる宗教の総称。

ということで、友人からの「あのイベントは何?」という質問に対しては、たいていタンキーにおける神様のお誕生日またはその団体の周年記念のお祝いイベントであるという回答になります。普段そのコミュニティーに参加している人が中心となっているイベントですが、HDB周辺の広場でオープンに行われており、閉じられたイベントという訳でもないので、見かけたら足を止めてみてはいかがでしょうか。日本の神道とも仏教とも異なるディープな宗教文化が覗けるかもしれません。


Financial Planning Manager
ドミニク・ウォンさん

香川県高松でのホームステイ経験があり、日本語が堪能。おもてなしの心を大切にするファイナンシャルアドバイザー。