2020.06.29
自粛生活で人間が街から姿を消した今、海からやってきたカワウソ達がシンガポール中を歩き回り、池などの魚を食べている。愛らしいカワウソの姿が頻繁に目撃されるようになり、過剰な増加を懸念する 声もあるが、専門家によるとカワウソ達が増えて都市を乗っ取る心配は見当違いだという。
「個体数は自然と調整されるので、そのような心配をする必要はありません」とシンガポール国立大学の生物化学の教授であるN Sivasothi 氏は述べている。4月上旬にCOVID-19の蔓延を防ぐため、外出するのに規制がかかって以来、カワウソ達が人通りの少なくなったリトルインディアを大胆に歩く姿や、Bishan-Ang Mo Kioの公園で喧嘩している姿、個人が所有する池の魚にありつく姿が目撃されている。これらの出来事が相次いで起こったため、今まで愛されていた動物が“害獣になってしまう”のではないかと心配する人もいる。
カワウソ達を見守るFaceBook のコミュニティ「OtterWatch」内で“Otterman”
の名で知られているSivasothi 氏によると、彼らの個体数は交通事故、縄張り争い、新生児の生存率の低さなどによって抑制されているという。
「自然界では、同じ空間で生きることのできる動物の数が限られています。そのため、毎日縄張り争いが起こり、最適とはいえない環境で暮らしているカワウソの繁殖率や、子どもの生存率は低下する可能性があります」とも述べている。また、昨年車に轢かれたカワウソの数は10 件報告されており、死体は検死のために「Wildlife Reserves Singapore」に送られた。
人の通行量が減り、街を元気に歩き回るようになったカワウソ達だが、その数はソーシャルメディアの普及により、誇張されている可能性があるとSivasothi氏は言う。ソーシャルメディア上に頻繁に登場することで、カワウソが至る所にいると思うかもしれないが、実際、同じ群れが広く分離した複数の場所に姿を表しているだけだそうだ。
では、なぜカワウソ達は珍しい場所に行くのか?
近頃、カワウソ達はコンドミニアムのプール、病院、ビシャン公園などで、池の魚を食べているところを目撃されている。Sivasothi氏によると、カワウソの群れは寝床と隠れる場所を探すためにつねに移動しており、橋の下や建物の間などの場所にいることがあるという。また、他の通りすがりの群れと喧嘩することもある。
「カワウソ達の目的は、他の群れに占領されていない、落ち着くことのできる場所を探すことです。人が少なくなった今、遊牧する性質のあるカワウソ達は普段寄り付かないような場所を散策する機会になっています。そして、新しい住処を見つけるために移動している間も食事をする必要があります」
シンガポールには約90 頭のカワウソがいて、各群れには16 頭程いるとSivasothi氏は述べているが、毎日移動するため、正確な数は分かっていない。シンガポールには張り込みをし、カワウソの情報をオンラインで投稿する30〜40の熱心なコミュニティが存在する。「Otter Watchers」として知られている彼らは通常、カワウソの群れを一目見るために、動物達が目覚める5:30 頃よりも前の早朝に家を出かけたり、夜に張り込んだり、数日かけて探し回ったりする。彼らはカワウソの群れを家族構成(親と子の数)や行動、生息しているエリアで見分けている。Sivasothi 氏は、これは非常にユニークなシンガポールでできる経験であると述べ、カワウソを見る際は距離をとって見て欲しいという。
オンラインコミュニティ「The OtterWatch」は2010 年に結成されたデータ収集
を目的とした研究プロジェクトで、その後、大衆のための教育プラットフォームとなった。Sivasothi 氏は「Otter Working Group Singapore」の一員でもり、「NParks」、「Animal Concerns Research」、「Education Society」と共にカワウソ関連の問題を扱っている。
出典:COCONUTS
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