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2020.02.28

新型コロナウィルスの感染が広がるシンガポール。マスクやアルコール消毒液は品薄になり、警戒レベルがオレンジに引き上げられたことにより、ますます不安が高まっています。ネットには様々な情報が流れ、何を信用していいかの判断が難しいです。そこで、AMDA国際平和クリニックの感染症担当、ティム・ハート医師に新型コロナウィルスについてお話を伺いました。


AMDA 国際平和クリニック

左:ドン・ラウ医師(総合内科、皮膚科担当)中央:藤原医師(カイロプラクティック科担当)右:ティム・ハート医師(総合内科・感染症担当)

長年に渡り日本人を診察してきたドン・ラウ医師が優秀な専門医と連帯して治療に当たっています。日本との医療事情の違いも熟知しており、一人ひとりに最適な治療や予防法を提供。日本人スタッフが常住しているため安心して治療が受けられます。受診・治療の費用については保険各種キャッシュレスサービスなども相談可能。母体であるAMDA Internationalは相互扶助の精神に基づき災害や紛争発生時に、医療・保健衛生分野を中心に緊急人道支援活動を行っています。そのため、世界中に治療を継続できるネットワークがあり、日本への帰国や他国への移住となった場合にも、AMDAネットワークパートナーの医療機関を紹介してもらうことが可能です。


ティム・ハート医師
総合内科、感染症担当
バーミンガム大学卒業 メディカルサイエンス学士号
ロンドン・スクール・オブ・ハイジーン・アンド・トロピカル・メディスン卒業感染症予防修士号
グラスゴー大学卒業 分子ウイルス学博士号
デューク・NUS大学 医学部卒業修士号(感染症対策)


新型コロナウィルス(2019-nCoV)とは
中国の武漢省でインフルエンザのような症状を訴える患者が多数確認され、世界中に広がりました。新型のウィルスによるものだということが分かり、コウモリなどの動物にいるウィルスが動物から人間に感染したのが原因だとされています。武漢に滞在していた 、もしくは何らかの接点のある人以外の症例も確認されました。当分の間は患者が増加し続けることが考えられますが、SARSやインフルエンザ同様に減少すると思われます。


症状例は?
風邪やインフルエンザに似て咳や息切れ、発熱といった症状がみられます。そのため一般的な風邪との区別がつきにくいです。しかし、これは悪いことばかりではなく、症例が似ているということは致死率も似ているということです。SARSのときは明らかな違いがあり、とても危険な病気でした。

どのように伝染するの?
感染者の咳、くしゃみによる飛沫感染と、感染者の飛沫のついた手で物に触ることでウィルスが付着し、別の人がその物に触れた手で口や鼻を触ることで感染する接触感染があります。飛沫が空気中に滞在する時間は短いのですが、飛沫が物に付着し、乾燥するまでには時間がかかります。そのため接触感染の確立のほうが高いといえるでしょう。電車やバス、ドアノブやスイッチなど、多くの人が触れる物がある場所は注意が必要です。


感染を防ぐには?
環境などの条件にもよりますが、ウィルスは数時間くらい生存し、熱やアルコールに弱いという特徴があります。下記のことを行うことで予防をすることができます。
・石鹸とぬるま湯、またはアルコールでこまめに手を洗う
・咳やくしゃみをするときは、口と鼻をハンカチなどでおおう
・目や口をなるべく触らない
・発熱や激しい咳のある人との接触を避ける
・発熱、激しい咳、息切れの症状がみられる場合、すぐに病院で診察を受ける
・動物のいるマーケットに行くのを避ける

どれくらい深刻なの?
新型コロナウィルスの罹患者は2%を超え、致死率は毎年世界中で発生するインフルエンザに類似しています。この数字は2003年に発生したSARSよりもはるかに下回っており、現段階で元気な成人の方が亡くなった報告はされていません。SARSのときは病状の進行するペースが早く、健康な方も亡くなりましたが、今のところ新型コロナウィルスではそのような例は報告されていません。回復したケースも報告されていますし、健康な方は重傷化する確率は低いと考えられます。しかし、高齢者や持病を持った方などの免疫力の低い人は注意が必要です。現在の検疫措置がうまく作用すれば、SARSやインフルエンザのように季節が暖かくなるにつれて新型コロナウィルスも自然に減少するでしょう。しかし、このタイプのウィルスは動物から人に感染して起こるため、仮に事態が収束したとしても再発の可能性はあります。

この時期に風邪を引いたら?
中国との接点のない方は、すぐに新型コロナウィルスの感染を疑うことはありません。外出するときや人と接するときはマスクを着用し、発熱などの症状が見られた場合は病院で検査を受けてください。感染が確認された場合、医師がMOHに伝えるので事前に連絡する必要はありません。


マスクの効き目はあるの?
一般的なマスクはウィルス粒子をフィルタリングしないため、 感染を防ぐ有効な方法とはいえません。しかし、人が咳をしたときなどの飛沫を防いだり、ウィルスのついた手で顔を無意識に触るなど、ウィルスに触れる機会を減らすことはできます。頻繁に手を石鹸で洗ったり、アルコール消毒をするほうがはるかに効果的です。ただし、感染の拡大を防ぐ為に熱や風邪などの症状がある方はマスクを着用してください。

まとめ
新型コロナウィルスはまだ発見されて間もないため、時間とともに情報が変わることも考えられます。感染の広がるスピードは早いものの、現段階の感染者の状況からもわかるように、致死率は高くありません。そのため、手洗いうがいなどの予防をしっかりとし、パニックにならず、冷静に行動することが重要です。
※上記の情報は2月14日現在のものです。最新情報はMOHホームページをご確認ください