2017.01.31
シンガポール映画界の目玉作品がいよいよ公開!
今年のチャイニーズニューイヤー時期に公開されるシンガポール作品『The Fortune Handbook』(1月 26 日公開)を手がけたケルヴィン・ソン監督に話を聞いた。
ケルヴィン・ソン Kelvin Sng
1974 年生まれ。教職から転向、ニーアンポリテクニックの監督コースで2 年間学んだのちに、製作会社を設立。短編やCM を多数手がけ、長編映画デビュー作の『Taxi! Taxi!』(2013 年)は国内で大ヒットした。
―映画監督になったきっかけは?
29 歳まで小中学校の教師をしていたけど、好きだった映画を仕事にしたいと思い立ち、メディア開発庁(MDA)の奨学金を得てポリテクニックの監督コースに通ったんだ。短編や CM等の作品を手がけながら人脈を築いていったよ。
―CNY映画の企画が舞い込んだ経緯は?
製作会社からオファーがあったのが、去年8月。マーク・リー、クリストファー・リー、リー・ナンシェンというシンガポールのベテラン俳優である3人の“リー氏” が初共演を果たす、ということ以外は何も決まってなかった。白紙の状態から企画を立ち上げ、短期集中で終えられたよ。
―昨今のシンガポール映画界をどう捉えていますか。
2013年に『Ilo Ilo』(邦題『イロイロ ぬくもりの記憶』)がカンヌ映画祭カメラドール賞に輝くなど、海外でシンガポール映画が高く評価されるようになり、助成金や資金調達など国内での映画製作の状況が以前より好転しているのは確か。でも、観客側が好む国産映画のテイストは、コメディ映画など限定的。ハリウッド映画だけでなく、自国作を映画館で見るのに積極的にお金を払うようになるまで、もう少し時間がかかると思う。
―毎年開催のシンガポール国際映画祭についてどう思いますか?
DVDもネットもなく、レンタルビデオ店もそれほど充実していなかった僕らの若い頃、映画祭は各国の良質な作品を安価に、しかも一気にまとめて見られる存在として本当にありがたかった。今も若手映画作家たちの登竜門的存在だし、常に新風を吹き込んでくれていると思う。
―自身の次回作は?
シンガポールの塾産業をテーマに、教育事情に一石を投じるような映画を作りたいと思っているよ。