2025.02.26
「ミュージアム日本語ガイドグループ」は、シンガポール内4カ所の博物館・美術館で無料日本語ガイドを実施しているボランティアグループ。シンガポールはもちろん、東南アジア各国の歴史や文化、アートに興味を持つ在星邦人を中心に、有志の方々が活動を長年続けている。日本語ガイドは通常、各博物館・美術館で、午前10時半から1時間行われており、シンガポール国立博物館とアジア文明博物館では、土曜日の午後も実施されている。
このコーナーでは、毎回一人の日本語ガイドの方にフォーカス!今回は、芳井有美さんにお話を伺った。
ミュージアム日本語ガイド・インタビュー
芳井有美さん
Q:在星歴と来星の理由を教えて下さい。
2023年4月に来星したので、在星歴は約2年になります。日本企業の海外駐在員である夫に帯同して来星しました。
Q:日本語ガイドを始めたきっかけは何ですか?
父が美術大学の出身でデザイン関係の仕事をしていたので、子供の頃よく展覧会に連れて行ってくれたんです。その影響で、当時、ガイドや学芸員に憧れていました。大人になってからも博物館や美術館という場所が好きで、シンガポールでもまずは地元のミュージアム巡りを!と、まずアジア文明博物館を訪れました。そこで、日本語ガイドに参加したところ、とても楽しく、さらに私でも研修を受ければガイドになれると知りました。なんだか自分の前に新しい道が開けたような気分になって、最短のタイミングで2023年10月に入会を申し込みました。
Q:日本語ガイドをやっていて一番良かったと思うことは?
日本語ガイドグループの一員になることで、自分もシンガポールの社会の一部に属し、家庭以外の居場所を見つけられたことですね。
Qグループの他のメンバーの方々との関係は?
一緒に研修を受けた同期と集まると、他の関係の友人とはなかなか話せないマニアックな話題で盛り上がれるので幸せな時間です!皆さんのお陰で、とても良い関係を築けています。同じ博物館の英語ドーセントは、シンガポーリアンはもちろん世界中の様々な国籍の方がいて、彼らとの交流も私の視野を広げてくれます。
Q:日本語ガイドになられてから、他の面で何か変化したことはありますか?
日本語ガイドの活動を通じ、シンガポールと東南アジアの歴史を学んだことで、シンガポール内の散策や東南アジア各国への旅行がより楽しいものになりました。夫も歴史好きなので、夫婦での散歩や旅のテーマが歴史寄りになったことを喜んでくれています。
Q:活動中に大変だと感じることはありますか?
ガイド原稿の準備ですね。まず、英語や日本語の資料をしっかり読み込んでから、それを自分の言葉でまとめてガイド原稿を作成します。博物館が提供する情報や事前リサーチで発見した興味深い事実、それらを参加者の方にも面白いと感じてもらうためには、ガイド原稿にストーリー性があることと、分かりやすく魅力的な言葉選びが重要だと思います。とても大変で苦しい作業ですが、同時にやりがいも感じます。毎回原稿が出来上がったときは一人でパソコンの前で万歳をしています!
インタビュー番外編:ちょこっとプライベートなお話も♪
Q:好きなローカルフードはありますか?
豆乳に仙草ゼリーが入ったドリンク通称「マイケルジャクソン」です。砂糖控えめでオーダーし、ごくごく飲むのが好きですね。
Q:ご家庭、または自分の周りで流行っていることは?
近所を散歩しているときに、よく会う地域猫たちと少しずつ距離を詰めて仲良くなろうとしています。大分懐いてくれて、最近は自ら膝に乗ってくれる子もいるんですよ。穏やかで優しい地域猫さんがシンガポールに多いのは、地域の人たちに大切にされているからだと感じています。ずっと安全に元気で暮らしてほしいです。
Q:シンガポールと日本の一番の違いは?
まだ2年と短い在星歴での感想ではありますが、やはり民族と文化の多様性だと思います。シンガポールの他に、移民の方が多く暮らす都市に暮らした経験もありますが、シンガポールは群を抜いて治安が良いというのが素晴らしいですね!
芳井有美さんをはじめとする「ミュージアム日本語ガイドグループ」の活動内容やスケジュールなどの詳細をチェック!
www.jdguide.exblog.jp
最新ミュージアム情報
日本語ガイド・芳井有美さんのイチオシ展示!
特別展「Pagoda Odyssey 1915: From Shanghai to San Francisco」
芳井有美さんに、展示の概要と見どころ&チェックポイントを聞きました!
<展示概要>
1915年、米国サンフランシスコで開催されたパナマ・太平洋万国博覧会。その博覧会では、中国上海のイエズス会系孤児院の子供たちが製作した84基のパゴダ(中国式の仏塔)の模型が展示されました。精巧に木彫りされたパゴダの模型に、博覧会を訪れた約1,800万の人々は驚かされました。本特別展では、その84基のパゴダの模型全てが、博覧会以降110年ぶりに一般公開されています。
本特別展で展示されているのは、パゴダの模型だけではありません。孤児院があった20世紀初頭の上海の様子を生き生きと映し出すかわいらしいお人形、パナマ・太平洋万博の様子を紹介する貴重なフィルム映像など、まさに上海からサンフランシスコまで旅をしたパゴダのOdyssey(壮大な冒険旅行)を体感していただける展示となっています。
<見どころ&チェックポイント>
パゴダの模型は84基もありますので、ぜひ日本語ガイドツアーに参加してください。各ガイドがパゴダに関連したお気に入りのストーリーとともに参加をお待ちしています。そして、3フロアにまたがる常設展ギャラリーへもぜひ!アジア文明博物館のコンセプトは「クロスカルチャー」です。多くの良港が栄えた東南アジアでは、大航海時代以前から交易を通じて多様な文化が影響しあい、豊かな文化が育まれました。交易、宗教、ファッションなど、フロアごとに設定されたテーマに基づき、東南アジアを行き交った交易品や宗教芸術を展示しています。一つの陶磁器、一枚のバティック(布)を通して、遠い昔から世界は繋がっていたのだ、ということが実感頂けるはずです。
場所:アジア文明博物館
期間:開催中~2025年6月1日まで
ウェブサイト:www.nhb.gov.sg
日本語ガイドツアー:毎週水曜 12:30~
※休日・祝日や急なスケジュール変更で予定が変わる場合もあり。
詳しいスケジュールは公式ブログで要確認!