2021.09.30
シンガポールで監査にお悩みの方・会計会社を探されている方必見。日系企業御用達の会計プロ集団「Phoenix Accounting Singapore」がコラム形式でわかりやすく監査のトラブルと対処法をお伝えします!
請求書 1000 件チェック?! 30 件に減らすには
私は日本から派遣されてシンガポール子会社の責任者を任された駐在員。会社経営などしたことないのに人事・経理・総務とフル回転。特に決算時には監査法人の対応で業務が手につきません。もうどうすればいいか教えて!
<ストーリー>
駐在員:今年、当社は初めて監査を受けるけど、売上のチェックをするのに
請求書を1000件もチェックすると言われてしまいました。これから100件の売上の証憑の原本をださなければいけないことになりました。これでは徹夜です。
コンサルタント:それは酷いですね。何とか交渉して数を減らしてもらいましょう。
駐在員:わかりました。それでは日本の親会社の経理担当も入れて、何とか組織的にプレッシャーを掛けます!
コンサルタント:いやいや、それでは逆効果です。もっと監査理論的に攻めましょう。
<ポイント1:内部統制の説明>
コンサルタント:まず、内部統制の説明をしましたか?
駐在員:何ですか?それは。
コンサルタント:内部統制は、会社の内部手続きのことです。これは監査にとって重要な前提で、この手続きがあるか。しっかり機能しているか。などを確認して、どのくらい厳しく監査をやるかを決めているんです。
駐在員:確かに請求書の発行の手続きを聞かれた気がしますが、忙しかったので面倒くさいこともあり、「小さい会社なので、社内承認などなくても全部内容は分かる。」と一蹴してしまったかもしれません。
コンサルタント:それはまずいですね。そうはいっても何か手続きはありませんか?
駐在員:そいえば顧客との契約のリストがあって、ローカルスタッフが作った請求書を私が見てはいます。
コンサルタント:それは立派な内部統制です。すぐに監査法人に説明しましょう。
<ポイント2:内部統制の証憑>
駐在員:うまく説明してきました。でも問題が発生です。その内部統制を示す書類を出してくださいと言われました。稟議書を作ったり、請求書に印鑑を押したりはしてないので、何も出せません。
コンサルタント:それは困りましたね。でも、実際には何かやり取りをしているはずですが、どうやっているんでしょうか。
駐在員:一応見ているんですが、最後は「OK」とメールで返しているだけです。
コンサルタント:そのメールが残っているはずですね。ちなみに、請求書が間違っている時に修正を指示しているメールもありませんか?
駐在員:確か、先月の請求では数件、修正させた気がします。
コンサルタント:それは、しっかりと請求書をレビューしている証拠になります。そういったコミュニケーションの証跡を全部出して説明しましょう。
(ミーティングが終わって)
駐在員:何を確認しているかを詳細に話して、そのメールなども全部見せてきましたのですが、最後は請求書のチェックが30件でいいということになりました。よかったです!
コンサルタント:監査担当者も1000件のチェックはやりたくないので、しっかりと社内手続きを説明できれば、お互い楽になりますね。
📖教訓! 監査人は社内手続きに頼っている。やっていることを説明する労力を使えば、あとが楽になる。
監査でチェックする証憑の件数は、その取引自体のリスクや重要性の他、社内手続きの整備・運用の状況によります。
思ったより多くの件数チェックのための資料を依頼された場合は、その説明がうまく伝わっていない可能性があります。これをしっかり説明し、その証拠を見せられるようにしておきましょう。そうすれば監査対応が楽になっていきます。
監査法人に見せるための手続きの証憑を作っておくことも有効ですが、大げさな稟議書などでなくても充分な場合もあります。うまく監査人を説得できる体制を整備しておきましょう。
監査法人対応を含め、お気軽にお問い合わせください!
Phoenix Accounting Group
グループ代表/公認会計士
伊藤哲男
Phoenix Accounting Singapore Pte Ltd
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