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2021.11.01

シンガポールで監査にお悩みの方・会計会社を探されている方必見。日系企業御用達の会計プロ集団「Phoenix Accounting Singaporeがコラム形式でわかりやすく監査のトラブルと対処法をお伝えします!


監査法人からの修正要求!間違えた処理を直さず監査終了


私は日本から派遣されてシンガポール子会社の責任者を任された駐在員。会社経営などしたことないのに人事・経理・総務とフル回転。特に決算時には監査法人の対応で業務が手につきません。もうどうすればいいか教えて!

監査法人:決算書をみた結果、間違えを見つけました。全部で5つです。確認していただけますでしょうか。
駐在員:なんと!こんなに沢山間違えがあって、これから修正すると親会社への報告に間に合わないかもしれない。これって修正しなくてはいけないんですよね。
監査法人:まぁ、はい。修正していただけるのであれば、お願いします。
コンサルタント:ちょっと待ってください。監査法人が見つけた間違えは、全部修正する必要はないんです。こちらから修正したほうがいいかを聞けばそうでうすねと言われますが、必ず修正すべきとは言われていない可能性があります。

☆ポイント1:監査法人は間違えを認めさせて集計している。

コンサルタント:まず監査法人のスタッフは、「未修正の監査差異」という決算書に反映していない間違えの集計表を作成していますが、そのために会社が間違えに同意するかの確認を求めているんです。
駐在員:じゃあ、間違えを認めても修正しなくていいんでしょうか。監査法人は決算に適正意見を出してくれるのですか。
コンサルタント:はい。但し、すべての間違えの合計が、監査法人が設定した重要性の基準値以下である必要があります。これは教えてもらえないのですが、「重要性以下ですか?」と聞いてみると、答えてくれると思います。

☆ポイント2:間違えの集計は経営者に報告、重要でないことを確認。

駐在員:なるほど、それでは間違えがいくらあっても、最終的に重要性以下であれば、勝手に判断してくれるんですね。
コンサルタント:そうなんですが、決算書は会社が作成し、監査法人はそれに意見を出すという前提です。そのため「未修正の差異」は監査法人から貴社の財務担当役員に提出され、会社としても重要性がないと判断している旨の確認書の提出が必要になります。
駐在員:そうなんですか。それでは内容については理解して役員説明ができるようにならないといけないですね。
コンサルタント:はい。また、これはあくまでも監査法人との確認書で、決算書とともに公表されるようなことはないので、そういう点も説明する必要がありますね。

☆ポイント3:監査法人は、重要ではないことを確認して適正意見を出す。

駐在員:財務担当役員に説明してサインをもらってきました。
コンサルタント:事前に監査法人の内部の重要性以下であることを確認しているので、これで適正意見がもらえますね。
来年以降の注意点ですが、監査法人のスタッフが出してきた修正については、すべてを認める必要がないことにも気を付けておいてください。どちらともつかないものについては突っぱねた方がいい場合もあります。小さいものが累計されると最終的に重要性以上になってしまうこともありますし。

📖教訓!監査で見つかった修正事項は全て修正の必要はない。重要性と決算修正の手間を天秤にかけて、効率的に監査を終わらせよう。

 監査法人にとって重要性以下の未修正事項は大きな問題ではありません。監査法人の意見は、決算書全体をみてミスリーディングになるかどうかだけです。
 会社の財務報告スケジュールなど、決算書を修正することによる社内への影響を考えて、未修正事項をそのままにし、監査法人の持つ重要性の考え方を最大限利用することがコツです。

 

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Phoenix Accounting Group
グループ代表/公認会計士

伊藤哲男
 

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