2020.10.29
ステイホームを楽しむ!「Netflix」11月の話題作を紹介
新旧問わず様々なジャンルのシンガポール映画を気軽に見られるのも、ネットフリックスならでは。映画を通して、シンガポールの知らなかった側面やローカルの人々の心情を読み取れるかも。
『Enola Holmes』 (2020年/PG13)
シャーロック・ホームズの20歳年下の妹、エノーラを主演にした小説シリーズの映画化。Netflixの大人気ドラマ「Stranger Things」のイレブン役で大ブレイクしたミリー・ボビー・ブラウンが主演だ。一心同体のように生きてきた母親が突然失踪。数年ぶりに実家に戻ってきた兄弟のシャーロックとマイクロフトにより寄宿舎に送り込まれそうになるが、エノーラは母の残した暗号を手掛かりに行方を探そうとロンドンへ赴く。次第に母が家を出た真相に近づいていくのであった。コロナの影響で劇場公開は断念され、Netflixで配信されることになった。「ストシン」とはまったく異なるミリーの魅力が全編で光る。「マン・オブ・スティール」のヘンリー・カヴィル演じる、ストイックだが妹への思いやりに溢れるホームズ役、「レ・ミゼラブル」のヘレナ・ボナム=カーター演じる破天荒でミステリアスな母親役など、実力派俳優たちの力量も見所。イギリスの田園風景は息をのむほど美しい。
『Mee Pok Man』 (1996年/M18)
斎藤工、松田聖子が共演した日シン合作映画「家族のレシピ」を手がけた、シンガポール映画界の巨匠エリック・クー監督の長編処女作。ミーポッ屋台を営む男が、事故にあった一人の娼婦を助けたことから、二人の不思議な関係が生まれる。1995年当時、題材と性的描写から R 指定となったが、現在はレーティングがM18に変更。社会の片隅で生きる人々の静かな心情を陰鬱な映像で捉えたアート映画スタイルの本作は、当時一大センセーションを巻き起こした。
『Bungo Stray Dogs』 (2019年/3シーズン/NC16)
朝霧カフカによるコミック「文豪ストレイドッグス」のアニメ化。太宰治、中島敦、宮沢賢治、与謝野晶子たちが、それぞれの作品にちなんだ異能力を武器に武装探偵社を構え、芥川龍之介、中原中也らのポートマフィアやフィッツジェラルドら海外勢力に立ち向かう。歴史的文豪たちに独自のペルソナを与え、それぞれが深層で抱くこじれた心象が細かく描かれており、文学作品に詳しくなくても耽美な世界に酔いしれてしまう。
レーティング:G=制限なし、PG=保護者の判断必要、PG13=13歳未満は保護者の判断必要、NC16=16歳未満鑑賞不可、M18=18歳未満鑑賞不可、R21=成人指定
Text by:小林亮子
日本の映画業界で約10年働き2006年から在星。ローカル学校に通う二人の子育てのかたわら、執筆・通訳翻訳業や、バイリンガル環境の子供たちに日本語を教える会社を経営