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2020.12.01

ステイホームを楽しむ!「Netflix」12月の話題作を紹介
「鬼滅の刃」が日本映画界に大旋風を巻き起こし、歴代最速で10日で興行収入が100億円を突破した。シンガポールでも早速劇場公開となるも、日本のレーティングはPG12だがここではNC16。小・中学生ファンの悲痛の叫びを挙げている。Netflixでアニメシリーズ一挙配信中。


『The Queen’s Gambit』 (2020年/ミニシリーズ/R21)

©️Netflix


 舞台は50〜60年代のアメリカ。孤児院で育ったベスは、用務員から教わった チェスで驚異的な才能を発揮する。夜毎に天井に浮かび上がる棋盤で駒を動かし、想像の中で腕を磨き続けた。13歳になったベスはとある夫婦の養女となり孤児院を去る。外の世界で片っ端からチェス大会に出場し、‘若い女性’という冠も加わって、一躍ベスの名は広まっていった。しかし彼女には、勝利を手に入れ続けるためのある秘密があった。性や人種の差別が色濃かった社会的風潮をしっかり捉えながら、不遇な子ども時代を送った一人の女性のナイーブな成長物語としても秀逸。また、ファッションや家屋の佇まいなどの当時のレトロな雰囲気の格調高さも見所だ。チェスに疎い筆者は最初食指が動かなかったが、1日早く見た夫の「今日ももう一度見たい」との一言で鑑賞決定。確かに何から何まで病みつきになる、そんな魅力に溢れた作品だ。


『The Polar Express』 (2004年/G)

©️Netflix


 筆者のクリスマス映画ベスト5に入る一本。クリスマスイヴの夜、サンタクロースの存在を疑う少年の家の前に、北極行きの機関車が停車する。サンタに会えると信じる子ども達に混ざり、少年は真実を手に入れる旅に出るのだった。ファンタジーの役目は、夢を与えるだけでなく夢を見る力を育むことなのだと実感させてくれる作品だ。原作の絵本を、作家・村上春樹が「急行『北極号』」というタイトルで邦訳している。

 


『Singapore Social』 (2019年/シーズン1/M18)

©️Netflix


 起業家、ファッションインフルエンサー、バーレスクダンサー、俳優など、そこそこセレブな20代から30代のシンガポール人男女が贈る、リアリティTVスタイルのシリーズ。一見派手目な日々を送る登場人物たちが、貪欲に栄光と成功を求める中で、家族との軋轢や人間関係に悩むナイーブな姿も見せる。地元民の反応は、現実味ゼロ!など比較的辛口だそうだが、溢れんばかりのエネル ギーのやり場に戸惑う若者たちの姿に、この国にある見えない壁の中でもがくジレンマが感じられる。

 


レーティング:G=制限なし、PG=保護者の判断必要、PG13=13歳未満は保護者の判断必要、NC16=16歳未満鑑賞不可、M18=18歳未満鑑賞不可、R21=成人指定

Text by:小林亮子
日本の映画業界で約10年働き2006年から在星。ローカル学校に通う二人の子育てのかたわら、執筆・通訳翻訳業や、バイリンガル環境の子供たちに日本語を教える会社を経営