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2019.10.22

【採用面接道/ローカル人材×日系企業】

海外にある日系企業として重要となるローカル採用。そんなローカル採用面接を通してローカル人材サービスと日系企業を結ぶ企画。

《第2回》

シンガポールで30 年以上も実績を誇るグローバル企業Pasona Singaporeが求職者に行っているカウンセリングから、日系企業と求職者の採用事情の今に迫った。


清水 梨名さん

Pasona Singapore
www.pasona.com.sg
所在地/1 Finlayson Green, #09-02 (S)049246
設立/ 1984年
Managing Director / Krishna Kumari
事業内容/人材紹介、人材派遣、HR サービス、人事・労務アウトソーシングサービス


Pasona Singaporeの取り組みとは

ゆうひ(以下「ゆ」):今回ご参加頂きます、パソナシンガポールのコンサルタント清水さんです。よろしくお願いします。
清水氏(以下、「清」):よろしくお願いします。
ゆ:世界各国にPasona グループがあり、多岐に渡るビジネスをされていると思いますが、Pasona Singapore はどのような事をされているのですか?
清:私の所属するコンサルタントチームは、多国籍スタッフが10名ほど在籍していて、ローカル人材、日本語スピーカー、その他多言語スピーカー、一人一人に合った求職者様の就職サポートを手がけています。Pasona Singapore 全体としては企業様への人材紹介の他、派遣スタッフサービスや人事、労務のアウトソーシングコンサルタントサービスも行なっています。

外国人求職者とのカウンセリングの実態

ゆ:外国人求職者とのカウンセリングは、日本語で行われる事が多いのでしょうか?
清:私は日本語スピーカーの求職者様を担当しているので、出来る限り日本語で面談を行い、求職者様の日本語能力を見極めています。日本語能力が低い求職者様には英語で行うこともあります。
ゆ:日本語で面談ができる人材はそこまで多くないように思うのですが?
清:ほとんどの求職者様が日本語で面談されていますね。意外と日本語が流暢な方が多いですよ。
レア(以下、「レ」):それは意外ですね。
ゆ:カウンセリングを通して求職者の何を一番見られているんでしょうか?
清:レジュメに書いてない部分を見るようにしています。職務経歴は既に書かれているので、面談では包括的にこれまでの経験のお話を聞き、そこから見える一人一人の適性や人柄またはポテンシャルを見ています。
ゆ:採用の際にローカル求職者の学歴はどのくらい影響しますか?
清:大手のような一部では学歴を応募条件に設けていたり、学歴によって給与のベンチマークを設けている企業様もございますが、その他多くは学歴よりも経験やスキル、語学力、または人柄とポテンシャルをより重視し採用判断をしている企業様が多いです。
レ:私の日本語レベル(JLPT N3 相当< ※ >)ではどうですか?
清:社内での日本語の使用を求められる業務であれば問題ないと思います。ただ営業やカスタマーサポート等社外で日本語を使用する業務は少しチャレンジかもしれません。
レ: やはりJLPT は、必要ですか?
清:JLPT のレベルを採用の必須条件として提示されている企業様も多いので、もちろん持っていた方が有利ですが、JLPT を持っていない求職者様にも我々が面談時に行うライティングテストやスピーキングチェックの結果を基に企業様へ推薦をさせて頂いております。
ゆ:御社に来られる外国人求職者は、日系企業への就職を目的とされている方が多いんですか?
清:日本語を使用して仕事をしたいという方の方が多い為、日系企業の案件をご紹介することが多いです。日系企業で就労経験がない方へは、入社後のカルチャーショックを避ける為に、事前に外国企業と日系企業の文化の違いなどを説明するようにしています。
ゆ:外国企業と日系企業の違いとは?
清:外資系企業の場合、募集ポジションに対し担当業務内容が始めから決まっており、入社後もほとんど変わらないケースが多いです。一方日系企業は、入社後その方の適性やパフォーマンス次第で、より多くの業務又は違った業務を任せてもらえるケースが多いです。また日系企業は「社員を育てる」という考えが根付いている為、未経験でも人柄や、やる気を評価して採用され、社員を育てていき長く勤めてもらいたいと考える傾向にあります。

日系企業は海外人材に不人気!?

ゆ:最近、色々なニュースで「日系企業は不人気」という情報を見ます。実際はどうなのでしょう?
清:不人気というよりは日系企業は残業時間が多い、担当業務内容が曖昧、キャリアプログレスが不透明、また昇進するまで時間が掛かる等のイメージを持っている方が多いように感じます。また外資系企業に比べ、日系企業の選考プロセスは時間が掛かる傾向にあり優秀な人材が非日系企業に流れてしまうというケースも起こっています。上記現状を含めたマーケットを御理解頂き、より人材が魅力的に感じるような将来性や職場環境の提供並びに待遇に競争力を持たせることの重要性をアドバイスさせて頂いております。

ローカル人材は売り手市場!?

ゆ:外国人労働者に対するビザの発行がどんどん厳しくなっていますが、ローカル(シンガポール人)の採用状況はどうですか?
清:日系企業側からは、ローカル人材(PR 保持者含む)の採用需要がますます増えてきています。ただ一方、ローカル求職者からの応募数はそこまで増えていません。なので弊社からも積極的にローカルの方へお声がけをしています。
レ:ローカルの子からすれば、今は日系企業に行けるチャンスですね。
清:ローカルの求職者もこのマーケット状況を理解され、自分達の価値を感じている為、あえて積極的に活動されない状態にはなってしまっていますね。
ゆ:売り手市場になってしまっているんですね。御社で扱われている新卒採用と中途採用の割合はどんな感じですか?
清:弊社で扱う求人はほとんどが中途採用ですね。シニアレベルの経験者の採用の取り扱いが多いですね。即戦力を求めるマーケットの為、新卒採用はそこまで多くないのが現状です。

今後ローカル人材と上手に付き合う為に

ゆ:ローカル人材の採用については、いろいろ悩まれている企業も多いと思います。何かアドバイスはありますか?
清:ローカル社員を採用しても直ぐに辞めてしまう定職率の低さで悩まれる企業様が多くいらっしゃいますが、その解決策としてローカルスタッフに対しても社内のキャリアパスプログレスを設けることは有効的だと思います。例えばプロモーションのチャンスがあることを明確にすること、パフォーマンスを評価しそれに見合った給与や役職を与えることで少しでも社員のモチベーションアップになり定着化に繋がると思います。
ゆ:ビザの規制が厳しくなってきた為、日本人を雇用するのが難しくなっているとは思いますが、最後に日本人求職者にも、今後のアドバイスを頂けますか?
清:ここ何年かでビザの取得は非常に厳しくなり、ビザサポートの有る求人も減少しました。ただ日本語を使用して対日系及び日本のお客様を対応する営業やカスタマーサポートポジションですと比較的まだビザサポートがある求人が多いです。そういった案件には応募も集中しますので、その中でなぜ自分を採用するのか、どのように貢献できるのか面接時に企業側へ自己PR をしっかり出来るように準備することをお勧めします。また英語力をブラッシュアップする等、経験以外でのスキルアップも重要だと思います。
ゆ:なるほど。勉強になりますね。今日はありがとうございました。
清:ありがとうございました。

※JLPT とは、Japanese Language Proficiency Test(日本語能力試験)の略。レベルはN1 〜N5 に分かれ、最高位のN1 では漢字や敬語などかなり高度な日本語能力が求められる。

パソナグループの仕事は「人を活かす」ことです。

パソナシンガポールは、日本の大手人材会社であるパソナのシンガポール現地法人です。経験豊富な多国籍キャリアコンサルタントが求職者一人一人と面談し、自信を持ってお勧めができる転職先のご提案をさせていただきます。採用支援だけでなく、日々の労務相談、就業規則書作成・改訂、給与計算・ベネフィット管理のアウトソーシング、通訳・翻訳サービス、毎月開催している新任赴任者向けの勉強会、カスタマイズ研修など、人事の“万屋”として企業様のサポートをしております。