2017.06.21
一度道を誤った人々が社会復帰をして、すぐに普通の生活を送ることは難しい。シンガポールでそういった元犯罪者に手を差し伸べている活動をしている飲食店のオーナーに話を聞いた。
君の人生を変えられるのは君だけだから
自らも壮絶な人生経験を重ねた末、飲食業界で再出発を果たした『Eighteen Chefs(エイティーン・シェフズ)』マネージャーのBenny Se Teoさん。これまでの半生を振り返り、隠すことなく語ってくれた。
フリーランスの派遣ライダーから レストラン経営へ
2007年チャンギ空港近くにあるイーストポイントモールにベニーさんが友人らと共同で開設した洋食・カフェレストラン。ローカルから洋食まで幅広い品数を提供する『Eighteen Chefs』は、島内に 13 店 舗を構える程の人気店。
ベニーさん自身、かつて何度も刑務所を出入りしていたそうだ。「何に対しても反骨精神がありながらも冒険心だけは誰よりも強く持ち、常に社会規範とは異なることをしたいと思っていた」と、若気の至りを反省しつつも快く語ってくれた。
1993年に出所した時に、彼は安定した穏やかな生活を望み仕事を探し始めた。しかし、数多くの面接を受けてはみたものの、どの企業も彼を雇うことはなかった。社会が元犯罪者を見る目は、思っていた以上に厳しいものだったのだ。現実を目の当たりにしたベニーさんは、フリーランスの派遣ライダーになることを決意。2000年に従業員の 90 %は元犯罪という宅配業者を設立した。その後紆余曲折あり、現在に至った。
「シェフになるための訓練を従業員が経験することで、自らを見つめ直して価値を見いだす機会に繋がると考えています」。現在『Eighteen Chefs』のスタッフは、約 25 %が前科者だと語ってくれた。
若者たちに伝えたいこと
熱いハートを持つベニーさんは、こう述べる。
「失敗をしても諦めずに挑戦し、そしてチャンスをものにしてほしい。君の人生を変えられるのは君だけだから」。
Eighteen Chefs
1 Pasir Ris Close, #02-330-331, E!Avenue
☎ 6904-4202
その他店舗 www.eighteenchefs.com
営 月~日曜 11:00 ~ 22:30(L/O 22:00)
休 なし
Facebook: Eighteenchefs
Instagram: eighteenchefs
生き甲斐を見つける手助けを
本格的なフレンチを提供するホーカー『Garçons』オーナー兼シェフのEnoch Teoさんが、問題を抱えている青年たちへメッセージを送る。
出会いは意外なところから始まる
シンガポール中心部に位置する高級HDBピナクル・アット・ダクストンの敷地内にある「Essen」。フレンチやイタリアンなど欧米料理を中心としたストールを屋内外に構え、ラグジュアリーなホー カーとしても有名だ。その一角で、鴨のリエットやコンフィなどが手頃な価格で楽しめる『Garçons』 は、2015年にオーナーのイノックさんによって創業された。
彼もまた、若者の更正を支援している一人。4年前、自らが経営するコーヒーショップで、従業員を募集したが雇用条件に合う理想の人材がなかなか見つからず、困っていた時期があった。そんな時、前科を持つ若者からの応募があリ、採用することにしたという。
いつまでも伝え続けたい思い
イノックさんは、社会復帰に悩む同様の若者たちにこう伝えたいと語る。
「彼らは、まだ自分が頑張れる何かに出会っていない。情熱を持てるものを見つけ、可能性を見つけ出してほしいと思っています」
どんな時でも彼らの立場に立ち、共に考えて新たな道へと導いてくれる。兄貴分の頼もしさが伺える一言だ。「生き甲斐を探し、一生懸命取り組むことこそが、幸せを実感できる時。物事には限界がないこと、正しい道を歩んでいれば、成功のチャンスは訪れると彼らに伝えたいです」
2017年末までに新たに2店舗をオー プンし、計6店舗へと拡大する予定。今後の『Garçons』の展開を見守りたい。
Garçons
1 Cantonment Road, #01-01, Essen @ the Pinnacle
☎ 6909-2350
営 月~日曜11:30 ~ 14:30 / 17:00 ~ 21:30
休 なし
Facebook: garcons.sg
Instagram: garcons.sg