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2017.06.21

提供する料理はもちろん、店の見た目も雰囲気も大事。今、注目したい店舗のオーナーにインタビューしました。


音楽と食事で心身を満たす都市型フードホール

ペイントされた大きなコンテナが目印

広大な屋外スペースも賑わいをみせる

大きなコンテナに描かれたペイントが目を引く『timbre+』は、昨年4月のオープン以来〝 ガストロパーク〞という「食と音楽」が コンセプトのフードホール。そ して、運営者のDeborah さんが掲げるキャッチコピーは「ライブが売りのtimbre+」でもあ る。計 37 店舗のホーカーストール、レストランやバーが集まる広大な敷地で、ミュージシャンの生演奏を楽しみながら食事ができるのだ。アルコール類も充実し、カジュアルな1皿から本 格派の1品まで、ホーカーにいることを忘れそうなスタイリッシュな空間。また、「トレイ返却 時にS$1のデポジットを返金するシステムを採用することで清潔感を保っています」と、スマートな取組みもユニーク。

年間を通し、ミュージシャンがライブを開催

timbre+
73A Ayer Rajah Crescent JTC LaunchPad@one-north
☎️ 6252-2545
営 月~木曜6:00 ~ 24:00  金・土曜6:00 ~翌1:00
休 日曜
timbreplus.sg
Facebook: timbreplus
Instagram: timbremusic


ロンドン帰りの息子が父親と始めたストール

息子のキースさん(右)と父親のデスモンドさん(左)。黒板のメニューは「新規オープンに向けて拡大、変更する」そう。※ 写真はセラングーン時代のもの

店構えもメニューもローカル色はなく、ヨーロッパの雰囲気を感じさせる『LAD & DAD』 は、高級住宅街のセラングーンガーデンでの2年間の営業を経て、今年の6月にマックスウェルフードセンターに移転、7月の開業を目前に控えている。親子で営むこのストールは、〝 LAD(息子)〞である息子のKith Loh さんがロンドンの大学を卒業して、シンガポールに戻ってから、〝 DAD(父親)〞のDesmond さんと共に始めたという。

イギリスのクラシックメニューにインスパイアされた料理が好評だが、なぜカフェやレストランでなく、ホーカーというローカルな店舗形態を選んだのだろうか。
「ホーカーはシンガポールの食文化として特徴的であり、それを守っていきたいという思いがあります。それに、上質な料理を手ごろな価格で提供したいですしね」
そう胸を張るだけあり、レストランクオリティーの料理とサービスなのに、S$4〜 12 とリーズナブルだ。

ホーカーになかったイギリスの味を

ホーカーでは異色だが、その素朴さにローカルからの人気も高い

「僕たちのメニューは独特で、シンガポールでは珍しいんです」おすすめは「マッシュポテト添えのビーフシチューとヨークシャープディング、イングリッシュブレックファースト」と、イギリスの家庭で食されているようなメニューが並ぶ。キースさんがイギリスでの生活で培った感覚を、父親のデスモンドさんと共にローカルフードとして落とし込み、欧風ながらもどこか懐かしい味わいが支持されている。

今後の展開について聞くと「まずはもう少し店舗を増やしてみたいですね。その後のステップはそれから考えます」と頼もしい回答が返ってきた。

観光客にも人気のフードセンターへの移転ともあり、さらなる集客が見込まれる同店。「新しいお客様と触れ合えるのが喜びなので、お近くにお越しの際は、ぜひ立ち寄って話しかけてください!」と、準備万端な様子だ。

LAD & DAD
1 Kadayanallur Street Maxwell Food Centre Stall 79
☎ 9247-7385
営 月~木曜11:00 ~ 14:00  金・土曜11:00 ~ 14:00 / 17:00 ~ 21:00  日曜11:00 ~ 15:00
休 祝日
Facebook:ladanddadsg
Instagram: ladanddadsg


ホーカーからビストロへ

おしゃれなカフェやマーケット内のフードセンターなど、知られざる名店が多いチョンバルに、かつて行列の絶えないイタリアンストール『ah bong’s ITALIAN』があった。その人気ゆえ、現在はブギス近くのBeach Roadに路面店を構えるまでに。小さなホーカーからビストロへと変身をとげたシェフのChris Ngさんに、そのサクセスストーリーを聞いた。

サラリーマンから遅咲きのシェフへ

「 10 歳のころからシェフになりたい」と思っていたというクリスさんは、当時から架空のメニューを想像して、作成するという遊びをいとこと楽しんでいたそう。「信じられないだろうけど、その時は経理担当がいいかなと思ってたんだ」と笑う。

卒業後は企業に就職したこともあり、料理は趣味として家族に振る舞う程度だった。しかし家族の支えもあって、4〜5年前に現在の仕事をしていこうと踏み切った。生粋の料理人ではなく、働き盛りの年齢での転換だったのだ。「だからこの転職は〝ミッドライフクライシス〞なんて言われちゃうかもね」とはにかむが、その姿はバイタリティーに溢れている。

その後2年間調理師学校に通い、基礎から学んだという。「学校では、3つ星シェフのブルーノ・メナールさんのもとで特訓を受ける貴重な機会もあったよ。その後、ナイトクラブ(ah bong’s supper club)を始めたんだ」

本格的に料理を学んだ経験と持ち前のセンスを発揮し、評判は上々だったという。そしてついにチョンバルに小さなストールを開業、『ah bong’s ITALIAN』の幕開けだ。そのユニークな響きの店名について、「上の娘から取ったんだよ。彼女が小さかったころ、よく自分のコップをひっくり返して『bong』という音を立てていたんだ」と微笑ましいエピソードを語ってくれた。

路面店でも変わらず高い支持を受ける

ビストロへの拡大と成功の秘訣

少ないメニュー、小さな厨房でレストラン顔負けのパスタやデザートまで提供し、ホーカーとは思えないクオリティー。2年間以上に渡り、遠方から人々が訪れるほどの支持を受け、路面のビストロへと進化した。移転を決意したのはどのような思いがあったのだろうか。

「チョンバルのストールでは、とても短い時間しか営業できなかった。スペースも設備も限られていたこともあって、お客様が自分の店で食べに来ても、本当に提供したいサービスができていなかったんだ」

開業して数年で店舗を拡大した、その成功の秘訣 を尋ねてみた。 「お客様を友達のように大切にしているからかな。かけがえのない体験をしてもらえることを1番に考えているよ。食事はもちろん、すべてのお客様に応じたサービスを提供するよう心がけているんだ」

最高のチームワークによるオペレーション

「熱意があり、しっかりした従業員を見つけるのに苦労した」というだけあり、仕事において最も大切にしているのは「スタッフたち!」と即答。「小さいけれど抜群のチーム。一人ひとりの個性や経験が絡み合って、お互いに支え合いながら結束力の高い関係を築けているんだ」

人を大切にするクリスさんの人柄と情熱も、人気の要因だろう。彼のようなキャリアを志すなら「これ以上ないっていうくらい一生懸命に取り組むこと」と、力強く述べる。誰よりも努力を惜しまず、邁進してきた姿勢そのもので、更なる発展へ期待が高まる。

パスタ7 ~ 8 種類、前菜は6 ~ 7 種類を取り揃えており、「新メニューを考案する時が一番わくわくする」と語るク リスさん。人気メニューは、本物のカニ肉を使った「Crab Aglio olio」

ボリューム満点の「”Almost There” Pork Belly」

ah bong’s ITALIAN
103 Beach Road, #01-02 (below Marrison Hotel)
☎ 9650-6194
営 月~金曜12:00 ~ 14:00 / 18:00 ~ 21:00  土・日曜・祝日 12:00 ~ 14:30 / 18:00 ~ 21:00
休 なし
Facebook: abitalianTQL
Instagram: ahbongsitalian