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2016.07.22

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Hirooka Family Office
CEO
廣岡良博さん
1961年生まれ。青森県出身。大学卒業後、野村證券に入社。その後、シンガポール証券取引所(現SGX)の理事、外資系プライベートバンク、バンク・オブ・シンガポールなどを経て、昨年「Hirooka Family Office」を設立。シンガポールにおける日本人プライベートバンカーの先駆者で、日本人の富裕層とシンガポール・アジアを結ぶ懸け橋となっている。最近感銘を受けた映画は、ビジネスにしか興味がなかった男が亡き友との約束を果たそうとする中で自分を見つめ直していく姿を描いた、『人生の約束』(2016年1月公開、監督・石橋冠、主演・竹野内豊)。「人生にとって本当に大切なものは何かに気づかされました」(廣岡さん)


野村證券の駐在員としてシンガポールに来てから、今年で27年目になります。

金融の世界でシンガポールにこれだけ長くいる日本人は私だけです。この経験を通して、いろいろな方々と知り合ってきたことが現在の私のビジネスにつながっています。昨今「フィンテック」 や「ビッグデータ」 という言葉をよく耳にされると思いますが、弊社のサービスはこれらのアナログ版といえるでしょう。つまり私どもへご相談に来て頂ければ、金融関連の問題だけでなく、個人のライフスタイルやビジネス案件まで幅広く解決するお手伝いができることを目指しています。証券会社や銀行などに属していると、組織の利益が優先されることは避けられません。

私が自分で会社を立ち上げたのは、純粋にお客様のために「バトラー(執事)」のようにサポートすることが目的です。会社の名前を「Hirooka Family Office」としたのも、お客様と一生お付き合いをさせて頂くという私の決意とコミットメントを表したものです。お客様はご紹介を頂くケースがほとんどです。「シンガポールに行くなら、廣岡さんを訪ねてみたら」と言って頂けるのは、本当にありがたいことです。そして、ご紹介を頂いた時は、年齢や職業などに関わらず、どんな方であっても面会は断らないことにしています。ビジネスになる、ならないは考慮しません。それを10年以上繰り返してきたことが、今の信用につながっているのだと考えています。

日本とシンガポール(華僑社会)の大きな違いは、「人生の中心」がどこにあるか、だと思います。

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シンガポールにはお金儲けが中心という人が多くいます。いくらシンガポールでビジネスをするようになっても、日本人にはお金がすべてという認識を持ってほしくありません。日本人がもともと持っている道徳・倫理が中心であり続けるべきです。それは日本人としてのアイデンティティにつながります。

ビジネスで成功するのも、しっかりとした道徳・倫理を持っている人です。短期的には自己中心的な人がうまくいくこともあるかもしれませんが、長い目で見ればそうした人は必ず落ちていきます。人生は今日明日の勝負ではありません。金融の世界には、騙そうとする人が残念ながらたくさんいます。私はたとえ騙されても、絶対に騙すことはするまいと思って生きてきました。もちろん騙されたこと、裏切られたことは何度もあります(苦笑)。しかし、そうやって生きてきたことが、私への信頼につながっているのだと思っています。

 私は今でも営業マンであることに誇りを持っています。

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若い営業職の方々に先輩としてアドバイスをさせて頂くとすれば、「相手に心をこめて接すること」「努力は嘘をつかないこと」の2つをあげたいと思います。思いやりをもって接していれば、いつか必ずあなたを理解してくれる人に巡り会うことができます。また、営業を長くやっていると、偶然仕事がうまくいくこともあります。しかし、そんなことは何度も続きません。ラッキーだったと思うことがあった時ほど、有頂天にならずに努力をすることが大切です。

(インタビュアー:安藤浩久)