2022.10.28
シンガポールにイベントが帰ってきた。街ゆく人々に笑顔が戻ってきた。3 年ぶりの F1 を通して感じる人々の思い、見えてくる景色をフォトグラファーの永見亜弓さんの作品と共に振り返る。いつまでも国際色豊かで華やかな夜が似合うシンガポールであり続けてほしい。そう願いながら……
永見亜弓さん
「同じところをぐるぐる回るだけのものが、なぜ楽しいの?」F1 が好き!と言うと、相手からよく返される言葉です。世界最高峰のカーレースだけに、全ての技術が最先端!世界で 20 人(2022 年)しかいない F1 ドライバーのスキルはもちろんのこと、メカニック技術&チーム力が必須。周ごと、レースごとにとても戦略的で、そこに集う人たちのドラマがあるのが最大の魅力です。今年は 22 戦。世界各国を旅しながら戦うので F1 サーカスとも呼ばれます。シンガポール GP は世界初のナイトレース。モナコに次ぐ人気の市街地コースで、私たちの日常の道路がサーキットになり、インフィニティ ♾ マークを模したコースが、明るくキラキラと浮き上がって見えるのは圧巻ですね。
F1 仕様のマリナベイサンズ(左)
今年は 12 年目にしてパダンに初めて行きました(右)
ホームストレートからの景色
サーキットオープン前夜。この仮設スタンドは数か月前に設置されます
F1 に魅了されたのは、小学生の時。F1 日本グランプリでのアイルトン・セナの走りをテレビで観てから、一気に夢中に。いつかは鈴鹿に、いつかはモナコに、と夢見ていましたが、2008 年にシンガポールにF1 がやってくるということで、意気込んでスマートフォンで撮ろうとしたら全く撮れず......そんな時、F1 カメラマンの宮田正和さんの写真と出会い、2009 年に一眼レフカメラを購入。その後、宮田さんにご紹介いただいたレースカメラマンの師匠たちに教えてもらいながら、見様見真似で撮り始めました。
シンガポールらしい風景とフォーミュラーカー(左)
レース終了後のポディウム前はこんな感じ(右)
ライブの様子
レース終わりの花火とホームストレート
上からみるとインフィニティの形のコース。風水の国ならでは
シンガポールは他の開催国とは違い、国内どこからでも気軽に観戦に行けるロケーション。終わった後も、家までさくっと帰れるのはありがたいですね。イベントやライブの作り方、レース運営など、全てが洗練されているにも関わらず、年々パワーアップしているところにシンガポールの底力を感じます。マーシャルたちはボランティアで参加。滞りのない運営は素晴らしく、レース後も笑顔で見送ってくれる姿に「また来年ね」って微笑ましく帰れるのも魅力の一つです。
今年から新しくできたスタンド
タイヤ跡もくっきり
シンガポールは 8 年の延長契約をし、今のところ 2028 年までの開催が決まっていますが、モナコのように、ずっと継続して年間の F1 カレンダーに当たり前のようにスケジュールされると尚嬉しいですね。角田裕毅くんのような日本人ドライバーがもっと出てきて欲しいですし、日本企業の F1 再参戦も心待ちにしています!
〜PHOTOGRAPHER〜
永見亜弓(ながみ あゆみ)さん
在星歴:16 年
好きな言葉:神様は乗り越えられない試練は与えない
Instagram, Facebook, twitter: @ayuminagami
1978 年広島生まれ。20 代で末期がんを経験後、結婚を機にシンガポールへ移住。小学校からの F1 好きが高じ、速いマシンが撮りたくなり本格的に写真を始める。得意分野はスポーツフォト。サッカークラブ、アルビレックス新潟シンガポール、JR 東日本と Co&Co が運営するコワーキングスペース One&Co のオフィシャルフォトグラファーとして、また、シンガポール日本人会運動部所属フォトグラファーとして活躍中。2021 年から月刊情報誌「J+PLUS」の表紙写真を毎月提供。最近は企業プロジェクトフォト、イベントフォト、家族写真、結婚写真、ポートレートなど多岐に渡る撮影を行なっている。