2017.02.02
シンガポール国立大学(NUS)語学教育研究センター(CLS)の日本語履修生が、日本語でいま興味があるカルチャーを伝える「Singapore Youth Report」。今回は人気ゲーム「ダンガンロンパ」小説版の感想をお届け。
「ダンガンロンパゼロ」を読んで
皆さん、一つの場面を想像してください。テストの後、どんなことが思い浮かびますか?自信満々で満点を取るという希望を持ちますか?不合格を予想して、絶望しますか?それとも、希望と絶望両方持ちますか?
今日紹介したい本のテーマは希望と絶望の戦争です。希望ヶ峰学園には才能がある高校生と予備学科の学生が集まっています。才能がある学生は卒業したら、将来きっと輝いて成功するそうです。一方予備学科の学生の高い学費は人体実験に使われています。その背後にいる絶望を伝染したい黒幕はこの人体実験の事実を公開したせいで、抗議が起きて、戦争が始まります。
この小説には、希望の意味がいろんな形で表れています。学校の希望は才能を集めて完璧な人間を作ることです。才能と希望を同一視して、人を才能の容器とみなすのは、非人道的な考え方だと思います。才能を持っていても、持たなくても、希望は皆の心にあります。それに対して、黒幕の希望は愛する人を守ることです。この黒幕は絶望を伝染するという矛盾した希望も持っています。つまり、黒幕の中には希望と絶望が共存しています。
私は絶望を無くすのは不可能だと思っています。希望を信じて、心が絶望に染まっていても、諦めないで、前に進んでいれば、きっと絶望を超えられます。これは現実の戦争ではなくて、自分の中での永遠の戦いです。
自分の経験を言えば、好きな人に片思いをして、その人もいつか自分を好きになってくれることがありました。結果は期待するのとは違って、悲しくて、落ち込んで、悩んで、後悔して、絶望しました。でも、いつも絶望しているのはダメです。この経験は消したい過去ですが、あの人に会えてよかったです。辛いですが、幸せな日々もありましたから、この記憶を守りたいです。この経験があったからこそ、将来順風満帆じゃなくても、幸せに生きていく希望が持てます。
希望は将来への期待で、絶望は過去への後悔です。この写真のモノクマのおへそは白くて、白い部分は半分以上です。そして二つは繋がって、サイクルを形成します。どちらも不可欠です。希望と絶望を感じられてこそ人間という存在があるのです。この本を読んで、自分の希望を探しましょう!
エイドリアン
エイドリアンと申します。シンガポール国立大学4 年生で心理学を専攻しています。趣味が多いのですが、一番好きなことは料理を作ることです。休みにいつもユーチュブのビデオを見ながら、できそうな料理を実験しています。今、色々なパンを焼くことに熱中していて、パン製造の科学を勉強しています。