• Raffles Clinic ひと目でわかる医療
  • ヘルス

2017.01.31

シンガポールに在住の皆様に、ぜひ知っておいていただきたい医療や健康に関するさまざまなトピックを、ラッフルズ・ジャパニーズクリニックの日本人医師が、図表やグラフなどを交えてわかりやすく解説します。


 心の理論 ②

前回の<サリーとアンのテスト>に引き続いて、『心の理論』チェックの第二弾です。

⒈ サリーとアンが公園で遊んでいた。サリーはアイスクリームを買いたかったが、お金を持っていなかった。おじさんは『今日はずっとこの公園にいるから、後でお金を持って買いにおいで』と言った 。

%e3%82%b5%e3%83%aa%e3%83%bc1

 

⒉ アンは公園に残り、サリーは家に戻った 。
⒊ しばらくして、アイスクリーム屋さんが売り場を片付け始めた。アンは驚いて『どこに行くの?』と聞いた。おじさんは『ここだと売れないから、学校の前に移るね』と答えた 。

%e3%82%b5%e3%83%aa%e3%83%bc2

 

⒋ アイスクリーム屋さんは学校に行く途中、サリーを見かけて、『公園だと売れないから、学校の前に行くね』と言った 。

%e3%82%b5%e3%83%aa%e3%83%bc3

 

⒌ アンがサリーの家に行くと、サリーのお母さんが、『サリーはアイスクリームを買いに出て行ったところよ』と言った。

%e3%82%b5%e3%83%aa%e3%83%bc4

 

質問: アンはサリーがアイスクリームを 買いにどこに行ったと思っているか?


正解は「公園」です。 この話を読んだ子どもが、アンの立場に立って、彼女の気持ちを推し量ることができるかどうかをチェックしています。
ここでは、「Aさんが物(X)を場所(Y)にあると(誤って)信じていると、Bさんが(誤って)信じている」という二段階の関係が分かる必要があり、6歳から9歳くらいで正答できるようになります。小学2年生の場合、発達に問題がない子たちでは約5割、自閉症スペクトラム障害の子たちは1割弱の正答率でした。

前回同様、このような「心の理論」の発達がどうなっているかは、参考にはなりますが、この問題が出来ないことを根拠に自閉症スペクトラム障害とは即断できません。総合的に判断する必要があります。


今回の担当ドクター

dr-motoda-lena

副院長 元田 玲奈 医師 (医学博士) Dr. Motoda Rena

東京大学医学部卒業後、東京大学大学院医学系研究科修了。医学博士 。2008年10月より現職。
日本小児科学会認定小児科専門医
日本小児神経学会会員
小児科医会認定「子どもの心」相談医

情報提供: ラッフルズ・ジャパニーズクリニック

▼病院詳細情報は以下のリンクから