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2025.05.06

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シンガポール国立大学(NUS)の学生の皆さんが「シンガポールの若者に流行らない中国文化」について、語ってくれました。学生さんそれぞれが感じるままに綴っています!


個人的な中国語能力不足の経験紹介

 シンガポール人の中国語能力と文化の問題は、興味深いテーマです。二言語教育が行われているのに、シンガポールの若者の多くは、中国語をうまく使えないようです。僕もその一人です。

 本来、ほとんどのシンガポール人は中国語ができるはずです。しかし、現実は違います。多くの学生は日常生活で英語しか使用していませんから、中国語との距離感を感じているようです。原因と言えば、勉強や仕事で成功するための言語は大抵英語です。その結果、中国語は学生たちの心の中で大切な彼らのアイデンティティの一部ではなく、むしろ試験のためだけの科目になってしまっています。

 更に、言葉を理解しなければ、多くの文化を理解することは難しいです。例えば、言語を理解する能力がなければ、中国語しか話せないお年寄りとコミュニケーションを取ったり、中国語のドラマを見たり、中国語の本を読んだりすることができません。そうできないと、文化を学ぶことはできなくなります。多くの祭りや儀式は中国語で行われますから、言葉が通じない人が参加するのは難しすぎです。

 僕や同級生には、中国文化や中国語を使う機会がなかったので、それらに大きな距離感を感じていました。中国語は、ただこなすための科目の一つで、それ以上はありません。僕たちは中国文化や中国語にまったく興味を持たず、それが理由で中国語を本当にうまく習得することができませんでした。シンガポールには多くの中国文化イベントやアクティビティがあるのに、僕が小さかった頃は、こうしたイベントを楽しんだり、コミュニケーションを取ったりする能力が不足していましたから、そうしたイベントに参加せず、より西洋的なメディアやイベントに参加していました。

 更に、中国語が将来の仕事に役に立つかどうかわからないという考え方も増えてきています。特に中国で働くことを考えていない場合、中国語を学ぶことの意味がないと思う若者が増えています。特に英語しか話さない家族なら、中国語を学ぶのはさらに複雑すぎます。そもそも、学校で中国語の試験を全てした後、中国語の勉強を続けたり、より高いレベルで中国語を使ったりする理由がなかったのです。中国語は普通お年寄りたちとの食事の注文や短い日常会話しかなく、より難しい話題でのコミュニケーションは難しくて、できませんでした。更に困ったことに、中国語を上手になりたくても、たいていすべての会話が英語で行われるこの国では、練習相手を見つけるのが難しすぎるのです。

 

教えてくれたのは!


ジュインシン・ウィー(Wee Juin Shin)さん
こんにちは〜!初めまして、ジュインシンと申します。22歳で、生物学科に通っています。趣味は料理、バードウォッチング、そしてランニングです。料理は毎日欠かさずにやっていて、新しいレシピにチャレンジするのが超楽しいんです!バードウォッチングは、自然の中を散歩しながら珍しい鳥を探すのが最高に楽しいんですよね。鳥の鳴き声を聞き分けるのにも挑戦中で、少しずつ上達しているように感じます。ランニングは、ストレス解消と健康維持のために続けていて、毎回少しずつ距離を伸ばすことを目標にしています。最近は24kmまで走れるようになりました!富士山マラソンに向けて、もっともっと頑張りたいなあと思っていますので、応援していただけると超嬉しいです!よろしくお願いします。


シンガポールの若者に流行らない中国文化

 これは新しい問題ではありません。2004年、中国語の科目を評価した教育部の委員会のレビューでも書かれていました。レビューによると、学校以外、学生は中国語を勉強する気がないそうです。さらに、学校を卒業した後、日常生活で中国語を使うことに興味がありません。レビューによると、学校で中国語の漢字の書き順ばかり練習して、学生にとって授業の内容は面白くないそうです。

 2011年の評価委員会がもう一度示したのは、学生たちが楽しく中国語を勉強するために、課程には変化が必要だということです。今、学生たちは中国語を勉強することの意味と理由がわかっていないようです。学生は中国語の授業でいい成績を取るのためだけ中国語を練習して、日常は英語で話してもいいという考え方があります。授業の内容は日常生活と強い関係をもつようにする必要があるはずです。

 中華系なのに、どうしてあまり中国語を話さないで、英語をペラペラ話しますか。国の歴史を少し復習しましょう。昔、シンガポールには、英語で教えた学校も中国語で教えた学校もありました。中国語の福建語を話す人はたくさんいましたが、英語を話すシンガポール人はマイノリティーでした。

 1980年ごろ、政府は全部の学校で英語を使うことにしました。シンガポールは多民族の国で、色々な言語が話されています。誰でもわかるように、同じ言語を話さなくてはなりませんから、その時もう世界中で、たくさんの人は英語が話せて、科学の研究でも、ビジネスでも、経済的なことでも英語を使っていましたから、英語は当然の選択でした。今では、英語は世界で使われるようになりました。

 今、シンガポールでは、学生は幼稚園から高校まで中国語を勉強させますが、中国語の授業以外、学校で英語が使われています。中国語は授業の20%以下の時間しかを使われていません。学校でも仕事でも英語が使われていますから、家で話す言葉が影響されています。英語の能力は中国語の能力より重要だと考えられています。うちで中国語を話す家族が減ってきて、英語を話す家族が増えてきました。

 私の家族も家で中国語を使わず、英語を使います。中華系ですから、若い人が中国語と中国文化に興味がないことはとても残念です。言葉はアイデンティティの重要な部分で、歴史との繋がりです。中国語を話さなくなると、文化もなくなっていてしまいます。もっとたくさんの学生は中国語と中国文化に対して興味を持つようになればいいと思います。

 

教えてくれたのは!


エンスリー・タン(Ainsley Tan Nuan Leng)さん
初めまして!エンスリーと申します。専門が薬学の1年生です。子供の頃からずっと絵を描くのが好きです。なぜなら、絵を描くことも言語と言えると思うからです。そして、言語は興味深いと思います。よくストーリーを書いてキャラクターを描きます。それから、SFやファンタジーなどよく読みます。音楽ならポップが好きです。よろしくお願いします!


楽しさと環境で中国語学習

 この問題とその原因について、私の意見をいくつか提案したいと思います。まず、シンガポールの若い人に中国語に興味をもたせることだと思います。なぜなら、興味は勉強のやる気を引き出し、自分で学ぶ気持ちを強めますから。例えば、私が中学生の時、初めて「犬夜叉」や「ドラえもん」など日本のアニメやマンガに触れました。その時は中国語の字幕や翻訳を使っていましたが、私が特に興味を持ったのは、翻訳されていない作品でした。それで、私は日本語を学び始め、だんだん日本語に強い興味を持つようになりました。

 そのため、もしシンガポールの学校が中国の学校と、時々交換留学プログラムなど一緒に行うことができれば、シンガポールの若い人が中国語に興味を持つようになるかもしれません。この中で、彼らは中国語に触れ、中国語の勉強を楽しむようになるかもしれません。試験のためだけではなく、学ぶ意味を見つけることができるでしょう。そして、興味を持って学ぶことで、毎回、少しずつ進歩していることを感じることができるはずです。このようなポジティブなフィードバックがもっと勉強したいと思わせて、いいサイクルを生み出すと思います。

 次に、シンガポールの若い人が中国語の環境にもっと触れる機会を増やして、中国語を練習するチャンスを増やすことが大切です。「習うより慣れよ」という言葉があるように、言語は知識として学ぶだけでなく、実際のコミュニケーションのツールとして使うことで、本当に勉強になるし、自由に使えるようになリます。

 私は小学生の時から中国で英語を勉強していましたが、中国には英語環境がなかったため、10年以上学んでも英語はうまく話せるようにはなりませんでした。シンガポールに来てからは、ここでの英語環境のおかげで、数年で母国語レベルまではなりませんが、シンガポール人と自然に話せるようになるなど、日常生活には困らないくらいにはなりました。

 ですから、シンガポールの若い人にとっては、両親ができるだけ家で中国語を使い、バイリンガルな環境を作ることで、中国語を自然に身につけるようになることができるでしょう。よく中国語を使うことで、少しずつ自分の中国語の間違いを直して、上手になります。そうすると、外でも自信を持って中国語が話せるようになって、言語学習の楽しさがわかり、中国語でのコミュニケーションにもっと取り組めるようになります。

 シンガポールでは、中国語能力と文化理解の問題が複雑です。多くの若い人は日常生活で中国語を使わないし、興味もないし、上手に話せるようになるのも難しいです。解決方法は、中国語に興味を持たせ、日常生活で中国語を使う機会を増やすことです。家や学校で中国語の環境を作り、実際に使うことで、若い人は自然に中国語を学び、文化への理解もわかるようになると思います。

 

教えてくれたのは!


カー・ユルオ(He Yuruo)さん
こんにちは!初めまして。カー・ユルオと申します。22歳で、現在、統計学部の4年生です。私の趣味はアニメやドラマを見ることです。勉強が忙しいですが、時間があればいつもアニメやドラマを楽しんでいます。見ることでリラックスできるし、勉強のストレスも解消できると思っています。日本語を勉強する理由は、旅行中に現地の人ともっと交流できるようになるためです。また、アニメを字幕なしで楽しめるようになりたいとも思っています。今でも日本語を学び続けていて、言語を通じて日本の文化をさらに深く理解できるようになりたいと考えています。どうぞよろしくお願いします。