2022.03.14
シンガポールのプロサッカーリーグ(Singapore Premier League)に参戦するアルビレックス新潟シンガポールに、日本人最年少として加入した針谷奎人選手。若干18歳ながら、シーズン開幕を告げるコミュニティシールドでスタメン出場を果たすと、現在(取材日3月11日)まで全試合フル出場中!今回は若くして海外挑戦を決意した針谷選手の素顔に迫ります!
針谷 奎人(はりや けいと)選手
アルビレックス新潟シンガポール 背番号3
生年月日:2003年5月18日
出身地:東京都
身長/体重:178cm/70kg
趣味:ゲームをすること
Instagram:@keitohariya
来星後二カ月が経ったと思いますが、ずばりシンガポールはいかがですか?
やっぱり暑いですね(笑)。
間違いありません(笑)。まずはプライベートのことからお伺いします。何かシンガポールならではのもので、お気に入りはできましたか?
チキンライスがお気に入りです。夜は自炊をしているのですが、昼は基本的に練習場近くのホーカーで食事をとります。そこではチキンライスを食べることが多いですね。
他には、外でお気に入りの場所というのはまだないのですが、オフには外に出てリフレッシュするようにしています。
オフの日はあまり多くないと思いますが、どんなところに行かれるんですか?
マリーナベイ・サンズやマーライオンパーク付近、それからセントーサ島です。まだ全然シンガポールのことをわかっていないので、チームメイトと一緒にいろんなところに足を運んで、シンガポールのことをどんどん知っていきたいと思っています。
よく一緒に出歩くチームメイトは誰ですか?
一つ年上の翼くん(川西翼選手)がよく一緒に出かけてくれます!加入が決まった後に、歳が近いということで僕の方から連絡したのがきっかけで、次第に仲良くしてくれるようになりました。選手によって入国のタイミングはバラバラだったのですが、翼くんと偶然入国が同じ日になったのも大きかったと思います。
川西選手は去年からの所属ですもんね!逆にシンガポールで気をつけていることはありますか?
やはり体調管理には常に気をつけています。ずっと続く暑さからか、来星当初は体調が崩れることが多かったんですよね。日本は四季がありますし、雨が一日中降る日、曇りの日、晴れの日といったようにそれぞれの四季の中でも波がありますけど、シンガポールはとにかくずっと暑いので、その点で調整が難しいと感じています。
さて、そんなシンガポール生活のスタートは、プロサッカー選手としてのスタートでもありました。
本当にサッカーのレベルが高校とは全く異なるので、そのレベルの差を日々感じますし、勉強になることがたくさんあります。
それでも、最初の公式戦となったコミュニティシールドでいきなりのプロデビューを飾りましたね。
はい。試合が近づくにつれてとても緊張していたのですが、特にインスタグラムなどで友人や高校時代のチームメイトをはじめいろいろな方が「頑張れ」と応援メッセージを送ってくれました。とても嬉しかったですし、それがあって徐々に緊張がほぐれていったと感じています。
正直、高卒選手としてチームに加入することが決まった段階で、この試合に出ることができると思っていませんでした。それも緊張の一因になったと思いますが、試合のチケットが即完売しましたし、スタンドやライブ配信で多くの方に見ていただいているということが貴重な機会であると思ったので、とにかく応援してくださる方の期待に応えたいという気持ちでプレーしました。
惜しくも敗れましたが、プロデビュー戦であることを全く感じさせない堂々としたプレーでした!
ありがとうございます。
そして高卒というワードが出ましたが、その高校卒業式が3月8日だったそうですね。
はい。日本の友人が動画や卒業証書の写真を送ってくれましたし、ビデオ通話をすることができました。やっぱり卒業式には出たかったと思いますね。
きっと高校時代のことを懐かしく思い出したと思います。実際に高校卒業前にシンガポールへ来ることになった経緯やアルビS加入に至るまではどんな思いを持っていたか教えていただけないでしょうか。
そうですね、プロを目指そうと決めたのは高校に入ってからでした。一年生の時はずっとBチームで、試合にも出られない日々を送っていたのですが、二年生から少しずつチャンスをもらえるように、試合に出られるようになっていきました。その中で、大学進学を通してプロに進むこと、高校卒業と同時にプロになることなどいくつか選択肢のイメージはあったのですが、できるだけ早くプロの世界に入って経験を積んでいきたいと思ったのがその頃です。
しかし、三年生になった時に、Jリーグチームからお話をいただくことはできずに、そのまま月日がどんどん経っていったんですね。そして、最初にプロのお話をいただいたのは、『アルビレックス新潟シンガポールからスカウトが来てるよ』と監督から聞いた10月、11月ごろでした。
ただ、自分にその時は海外でプレーするイメージを全く持っていなかったんです。Jリーグに入りたいという気持ちもあって、シンガポール行きを即決することはできませんでした。それを理解していただいて、12月まで返答を待っていただいたのですが、他のチームからオファーをいただくことができず、最初にお話をいただいたアルビレックス新潟シンガポールでプレーする覚悟を決めました。
となると、いずれはJリーグに帰りたいという気持ちが強いのでしょうか?そのための2022年ですか?
いえ、海外でプレーしてみてから、気持ちが変わりました。というのも海外でプレーしている日本人選手たちの凄さを実感したんです。外に出てから、海外チームに所属している選手のプレーを観ることが増え、日本国内でプレーしている選手とのレベルの違いを感じました。それがあって、今はJリーグというよりは、海外で活躍できる選手になっていくことを目標としています。
そうして加入したアルビレックス新潟シンガポールでは、10代の選手としてはただ1人一桁の背番号を背負うことになりました。
まさか3番という背番号をいただけるとは思っていませんでした。最初に背番号を伝えられた時には、まず先に驚きが来ましたし、同時にプレッシャーを感じました。そこでも緊張が高まったのを覚えています。
とにかく気を張った状態が続いていることが伝わります。
はい。それでも、ここまでリーグ戦2試合を戦って、程よい緊張感に変わってきています。
まさにリーグ戦初勝利が与える影響は針谷選手にとって、そしてチームにとっても大きかったのではないでしょうか。
そうですね。自分は現在のチーム状況をポジティブに捉えることができています。やはり個人的に緊張はかなりしていましたし、チームはコミュニティシールド、リーグ開幕戦で負けてしまいました。一方でチームの全体練習が2月に入ってから始まって、それからみんなの仲が徐々に打ち解けているし、良い試合ができてきていることは感じていました。
だから、バレスティア戦(3月5日○6-0)で勝てたのはとても嬉しかったですし、スタンドのファンの皆さまが笑顔で手を振ってくれているのも、印象的な光景でした。
その中で手応えを得ている部分、自信が武器だと思っているプレーはどんなところでしょうか。
はい、自分はヘディングとインターセプトが武器だと思っています。
身体のサイズは大きくないですし、CBとしてはかなり小柄なのですが、跳躍力は負けない自信があります。そして、身体が強くないことを自覚していますが、だからこそ常に予測を立てながらプレーするというところを大事にしています。
まさにコミュニティシールドでライオンシティ・セイラーズFCのキム・シンウク選手(196cm *針谷選手178cm)に最初に競り勝ったシーンはスタンドからも大きな拍手が湧きました。
実は中学の時に1年間だけバレーボールをやっていた時期があるんです。サッカーでは他の選手は片足踏み切りでジャンプをする選手が多いんですけど、僕はそのバレーボールの経験を活かして、両足で踏み切ってジャンプしているんですね。そこが高く飛んで、ヘディングで勝つ秘訣の一つだと思っています。
ぜひ注目して試合を見てみます!それでは最後に今シーズンの目標を教えてください。
最初に目標にしていたのは、シーズン中にスタメンに定着することでした。自分のポジションには、玲央くん (国本 玲央選手)という、Jリーグのチームに加入して、レンタル移籍でシンガポールで経験を積んでいる選手がいたからです。ある意味、自分にとっては玲央くんを目標にしていたプレシーズンだったんです。
ただ負傷離脱をしていた玲央くんがこれから戻ってくるのですが、自分が3試合プレーしてみて、今はただ目標にするのではなく、ライバルであると思って、そして玲央くんからポジションを奪うということを意識してトレーニングに臨んでいます。
もちろんチームの一員として、リーグ、カップ戦どちらも優勝することも大切な目標です。アルビレックス新潟シンガポールが来年のコミュニティシールドに出場できるよう、その優勝という結果繋げていきたいです。
ありがとうございます。楽しみにしています。
こちらこそありがとうございました。
どんなに相手選手の身長が高くても、身長が小さいセンターバックでも、ヘディングで勝てるんだというところ、活躍できるんだというところを知らせたいですし、ぜひそこを注目して観ていただきたいと思います。
*「J+Plus」は、Albirex Niigata FC(S) のオフィシャルメディアパートナーです。