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2021.10.18

憤激と暴動の移民労働者寮(ドミトリー)で今何が起こっているのか?【時系列で紹介】

ジュロンの寮で抗議活動を行う移民労働者たち
写真提供: Sgfollowsall/Instagram

怠慢と劣悪な環境が原因で、怒りが爆発し、機動隊が呼ばれたシンガポールの寮が、ここ数日、国民の良心を捉えている。

ジュロンにあるWestlite社のJalan Tukang 寮では、1,400人の入居者(うち約500人が新型コロナウィルスに感染)が、病気の治療の遅れ、医療の欠如、虫が混入したケータリング料理などについて不満を漏らしていたことが、先週、中国メディアで初めて報じられた。彼らの非人道的な扱いは、抗議行動を鎮めるために警察が出動したことですぐに明らかになり、当局と彼らの雇用主である海洋エンジニアリング会社Sembcorp Marine社は、事態の早期解決を約束した。

怠慢だと非難された労働当局は、現在すべてが改善された主張し、発揚を促すイメージビデオも制作しているが、労働者自身からは明確な言葉は出ていない。ここまでの経緯は以下の通りを説明しよう。

 

10月12日(火)
最初に報告された苦情

出稼ぎ労働者からの複数の苦情は、中国のポータルサイトWeixinによって火曜日に初めて報告された。彼らは、感染した労働者が他の労働者と隔離されておらず、外の舗道で寝なければならないと主張していた。また、全員分の薬やマスクが用意されておらず、ケータリングの食事には虫や新聞紙、髪の毛などが混入していたという。シンガポール労働省(MOM)は、労働者の苦情に対応しなかったと非難された。

感染した労働者が寮の外で寝て自己隔離している写真。写真提供:Kanxinjiapo/Weibo

10月13日(水)
MOMが調査、機動隊が出動

MOMはコロナの健康被害に対応するための組織:Forward Assurance and Support Teams(通称FAST)を寮に配備した。

Sgfollowsallが投稿したビデオには、当寮の1階に群がる移民労働者と、バリケードの後ろに立つ機動隊員、そして会場の外に駐車している車の分隊が映っていた。警察が到着したのは午後2時頃だったとMOMは述べている。

「すでにあなた方の懸念について経営陣に伝えました。私は、皆さんの疑問を上層部に伝えるために、最善の努力をしています」と、青い服を着た男性がメガホンでアナウンスしているのが聞こえる。

MOMは記者団に対し、治療を要する人たちを “治療のための適切な医療施設 “に移送するよう努めていると述べた。感染者と密接に接触していた住民は、コロナが陰性であれば職場に戻ることができる。

MOMはさらに、住民の治療のために移動式の臨床チームを派遣し、1日3回供給される食事に否定的な意見があることをSembcorp Marine社に伝えたという。

 

10月14日(木)
Sembcorp Marine 社の見解と大臣の発言への非難

Sembcorp Marine社は労働者の懸念を「受け取った」とし、「関連当局と緊密に連携している」と述べた。

「シンガポールにおける現在の協定が、当寮の居住者とって明確ではないかもしれないこと、また、彼らの母国でのコロナの管理方法とは異なるかもしれないことを念頭に置いています。この点について、当社、(中略)およびWestlite社は、現場で居住者に対策について説明し、保証してきました」と声明を出した。

さらにTan See Leng労働大臣は、労働者を「兄弟」と呼び、労働者に適切な治療を施すことを保証した。

「MOMはあなた方の旅の一歩一歩を共に歩み、あなた方が遭遇するかもしれない運営上の課題を解決するためにここにいますのでご安心ください」と述べている。「寮に住んでいる移民労働者の兄弟たちにも、必要な時に適切な医療を受けられることを保証したいと思います」

大臣の「兄弟」発言に対しては、世間からは「哀れ」という声やシンガポールの対応を「恥ずかしい」という批判が相次いだ。

出稼ぎ労働者のAmrakajona Zakir氏はこう書いた、「大臣、私たちはあなたの兄弟ではありません。大臣にできることは、私たちに敬意を払い、人間としてまともに扱うことだけです」。

 

10月15日(金)
MOMは会社の準備不足を指摘、Sembcorp Marine社は謝罪、中国大使館は物資を送付

MOMは、感染した労働者を回復施設に移すのが遅れたのは、感染者の増加を想定おらず、十分な資源を投入しなかった為であるとしている。

MOMの一部門であるACE(Assurance, Care and Engagement)グループのチーフであるTung Yui Fai氏は、「我々の予備調査によると、適切なケアや寮から回復施設への労働者の移動が最初に遅れたのは、陽性と判定された労働者の数が予想外に増加しておらず、我々が十分なリソースを投入しなかった為である」と述べた。

「これは、雇用主が寮に住む従業員に対して強制的かつ定期的な集団検査を行ったことによるものです」
Semborp Marine社は労働者に謝罪し、陽性反応が出た人は回復施設に送られ、食事を適切に調整するために給食業者と協力していることを公表した。

「当社は、これらの問題について従業員に謝罪します。ケータリング業者へ衛生基準の厳守と料理の提供をタイムリーに行うよう要求しました」と更新情報で述べている。

「当社は、食品の衛生と品質の高い一貫した基準を確保するために、この問題を引き続き監視していきます」と述べている。

マスク、ペットボトルの水、ティッシュペーパーなどの物資が入った箱を作業員が降ろす様子を撮影したビデオがネット上に投稿されたが、これは中国大使館のものと思われる。中国大使館は、Coconutsのコメントを求める問い合わせに応じていない。

 

10月16(土)
MOMは被害対策を講じ、Sembcorp社は従業員の半数がワクチンを接種したと発表

MOMは、従業員が新鮮なリンゴと弁当を受け取っている様子をスローモーションで撮影し、明るいBGMを流した動画を投稿した。またTung氏は、彼らをしっかりとケアする十分なリソースを確保した」と語っている。

Sembcorp社は、最新情報では、労働者の予防接種状況を確認する過程で、1400人の居住者全員がシンガポール入国前に自国で予防接種を受けていたことを確認したと述べている。

シンガポールでは10月15日、9名の死亡者と3,058名の感染者が出ており、そのうち601名は移民労働者の寮で発生しました。合計で148,178人の感染者と233人の死亡者を数えていた。

 

出典:COCONUTS