2021.09.30
昨年のコロナ禍の中、サーキットブレ―カー(CB)で外出制限がかかり、その反動でホームクッキング、特にベーキング熱が家庭で高まったとのことを以前こちらの誌面で書かせていただきました。その熱やブームがそのまま「ホームベーキング」ビジネスになっていたり、また家庭でお料理を出してレストランのようにお客様をおもてなしする、「プライベートダイニング」に変化していたりするケースもあります。
今回は、そんな例を少しご紹介させていただきます。
YY Barkery.co yybarkery.co
家庭で作っていたお菓子が好評で、友人たちへの販売からより輪が広がっていった。一時、売り上げと労力のバランスが不釣り合いで、ビジネスを中断したこともあったが、周りからのリクエストの声が高く再開。再開の際には、種類を絞る、マーケティングを見直し、宣伝はインスタに特化。スモールスケールのホームビジネスにあった形で見事に復活、そして売り上げも好調です。
Linda’s Table lindatable.pd
計画していた「プライベートダイニング」はサーキットブレーカーで、一時中断に。しかし、時を待って、CB後小さく再開。最大8名(現在のフェーズでは5名)までの小さなプライベートダイニングというコンセプトが、CBの後の小さな集まりの機会にマッチ。抜群の料理センスとその人柄、食への知見からあっという間に予約の取れないプライベートダイニングに!メディアにも取り上げられ、2022年3月まで満席という盛況ぶり。訪問者には各界の著名人も名を連ねる。
個人的に感じることですが、シンガポールの消費者もコロナ禍を経験し、より作り手の顔の見え、ストーリーの感じられるものを好む傾向が、より高まっていると感じます。
シンガポールでは、食品の販売、飲食店経営は店舗を構えて営業していくには、それなりの手続き、ライセンスが必要になってきます。しかし、「家庭」で同様のビジネスをするには、このような手続き、ライセンスが不要*です。こんな気軽さから、「副業」的に、家庭でのベーキングビジネスや、料理の腕に自信のある方たちのプライベートダイニングが増加中です。ただ、あくまでもホームスケール規模であることが前提ではあります。
*詳細はSFAのホームページをご確認下さい。必要とされる条件・講習会への参加はあります。
ケルニン青木康子 さん
ケルニン青木康子/食のイベント会社Spoonful代表。シンガポールでメディア会社に7年勤務後、「食」を通して人と人、社会と社会をつなぐ食のイベントブランドSpoonfulを2014年に起業。ライフワークとして、シンガポール料理の調査、研究を手がける。
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