• Singapore Youth Report
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2020.12.21

シンガポール国立大学(NUS)語学教育研究センター(CLS)日本語履修生が日本語で様々なトピックを綴ります。


時間の無駄だと思わずに、文学に触れてみませんか

 複数のシンガポールの文学作品を実際に読んだシンガポール人はどれくらいいるのだろうか。二年生の時、「シンガポールの英文学」というコースを取った。授業の初日、私はクラスメートに「英文学を専攻していないのに文学のコースを選んだのはシンガポールの文学に興味を持っているからなのか」と尋ねてみた。
 予想に反して、彼らはシンガポール人だけれど、シンガポールの文学に関心がないようだった。そして、彼らはいくつかの興味がない理由を挙げた。彼らは文学は難しい、或いは、つまらないと答えた。また、文学は自分と関係がなく、読んでも役に立たないという返事もあった。その考えのせいで、彼らは文学またはシンガポール文学が重要だとは思わないらしい。つまり、コースは仕方なく取っていたのだ。
 クラスメートの言い分は分からないわけではない。無駄な時間を過ごしたくない気持ちも分かる。確かに文学作品は興味深く、読みやすい物ばかりとは限らない。専門が英文学の私でさえ文学作品から逃げたいと思う時がある。しかし、シンガポール人はシンガポールの文学を読むべきだと思う。自分と関係ないと思うかもしれないが、自分の文化の一部であるシンガポール文学が自分とは関係ないはずがない。その文化を知るのも大切なのではないだろうか。
 文学が難しいせいか、文学作品を楽しむにはある程度の理解力が必要だ。それが最大の問題かもしれない。それにしても、読む前に無理だと言わずに出来るだけ読んでみてはどうだろうか。すべてを理解できなくても、理解できる部分もあるはずだ。それに、シンガポールの文学作品を読むことで、国やシンガポール人であることに関する理解が深められる。時々、それ以外のことについても考えさせられる。その上、シンガポールが独立前と独立後の作品を読むのは教科書にはない歴史を知るのに適している。読む時間は無駄だと思わずに、文学に触れてみてもいいのではないだろうか。


チアン・レベッカ
皆さん、こんにちは。チアン・レベッカと申します。英文学専攻です。趣味は囲碁や読書などで、何回も読んだ本は聖書です。アニメや漫画がきっかけで日本語に興味を持つようになりました。卒業後はぜひ日本へ行ってみたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。