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2020.12.01

シンガポールのホーカーで日本の本格的な十割蕎麦が食べられると瞬く間に話題店となった「令和蕎麦」。8月に開店したばかりだというのに昼食時には長蛇の列ができ、13時にもなるとその日の提供分を売り切ってしまうという人気ぶりです。彗星の如くシンガポールのF&B業界に出現した「令和蕎麦」のオーナー 松平ご夫妻にお話しを伺いに行ってきました。

オーナーの 松平さんとタイ料理店舗からのスタッフの方


はじまりは、ご夫妻が通っていたホーカーのタイ料理屋の店主から、「COVID-19禍の影響を受け店舗を閉店する」と聞き、ならばずっと手掛けた いと思っていた蕎麦屋を開くことを決意。店舗を引き継ぐことにしたそうです。ホーカーと蕎麦とは意外な組み合わせですが、質の良いものを値段を抑えて出すにはホーカーの家賃やスタイルは魅力的でもあったそうです。元々、松平氏は蕎麦があまり好きではなかったのことですが、14年前に日本で蕎麦とラー油の組み合わせの辛味蕎麦に出会い、その味の組み合わせに魅了され、以来、蕎麦好きに。令和蕎麦でも、この辛味蕎麦にヒントを得た蕎麦を提供しています。

“辛味蕎麦” にヒントを得た辛味もり蕎麦


令和蕎麦の食材の選択基準は「子供に食べさせたいと思う食材の使用」。ご夫妻の子供たちが、グルテンアレルギーを持っているので蕎麦は十割に、豚肉は ホルモン剤を使用していないMSG不使用のもの、蕎麦汁には栄養たっぷりなチキン白湯スープを加えています。またラー油は手り蕎麦 粉は更科、挽きぐるみをその日の湿度によって、粉の配合を変え店内で製麺しています。メインメニューは4つに絞られ、一番人気は豚肉蕎麦(S$12)。マンゴーサラダ蕎麦 (S$10)は前任者のタイ料理屋店主が、店舗に残って調理スタッフとして活躍してくれているからこそ提供できる味で、ご夫妻曰く、蕎麦と酸味のあるマンゴーサラダは、実はとても合うそうです。また日替わ りのかけ蕎麦(S$10)は、薬膳スープが効いているバクテー蕎麦が人気とのこと。

早いと13時には店終い


想像以上に現地の方々に受け入れられた令和 蕎麦ですが、中には地元のメディア掲載から知って来店するも、蕎麦自体を知らない人もいて、急激な人気ぶりは冷静に受け止めているとの事です。今後の展開は2店舗目が年内を目途にべドックエリアに開店予定。3店舗目も検討中とのこと。コロナ禍で大きく打撃を受けたF&Bですが、新しい形態が躍進する機会でもあります。

令和蕎麦(REIWA SOBA)
#01-121, 28Kelantan Road Singapore 200028
営業時間:火・木~日 11:30~売切れまで
定休日:月・水
IG:reiwasoba.sg

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ケルニン青木康子 さん

食のイベント会社Spoonful代表。シンガポールでメディアに7年勤務後、「食」を通して人と人、社会と社会をつなぐ食イベントブランドSpoonfulを2014年に企業。ライフワークとして、シンガポール料理の調査、研究を手がける。