2020.09.29
シンガポールのプロリーグに参戦しているチームとして、“シンガポールサッカー界への貢献”が大きなテーマであるアルビレックス新潟シンガポール(アルビ)。シンガポール人を対象としたU15と U17のユースチームを設立し、シンガポールサッカー界の将来を担う若手選手の育成をしています。今回はU15の加藤監督、U17の藤本監督にお話を伺いました。
加藤 真之(かとう まさゆき)
大学卒業後にサッカー選手を引退。2年会社員として勤めた後、サッカー指導者を志してイギリスへ 2年留学する。日本へ帰国後は、様々なクラブの指導者として活躍し、シンガポールでアルビU15 のコーチとしてのキャリアをスタートした。
藤本 雄基(ふじもと ゆうき)
高校まで日本で過ごし、その後はサッカー 選手として日本・ドイツ・モンテネグロ・ ミャンマーなどでプレー。29歳で現役引退後は指導者として中国で3年間サッカーコーチの経験を経て、シンガポールでのアルビU17のチーム監督に就任。
チームには誰が参加できるのですか?
加藤・・・基本的にはシンガポール人選手ですが、試合に出られる外国人枠が2つあります。トライアウトには200人くらいの応募があったのですが、合格した20名程の選手でチームを形成しています。
トライアウトを見た感想をお聞かせください。
藤本・・・本格的にサッカー選手になりたい子から趣味程度の子、幅広いタイプの子が来ている印象でした。サッカー選手に必要な要素、アスリートとしてのフィジカル面の判断がしやすく、比較的絞りやすかったです。
加藤・・・U15はフィジカル面ではそこまで細かく見ていないのですが、カジュアルに選抜に来る子もいて日本との感覚の違いを感じました。
どのような取り組みを行っていますか?
加藤・・・本来ならU15は週3回くらい、グラウンドで練習を行うのですが、現在はコロナの影響でオンライントレーニングを行っています。フィジカル半分、ボールワーク半分、日によってメニューを変え、最近ではプロの試合の映像を見せて解説し、指導したりもしてます。
藤本・・・U17は週4、5回の練習を行っており、オンラインでトレーニングをしていた時期もあるのですが、少人数での外での練習が可能になりました。幸いなことに、U17の選手がトップチームの試合にも出場できる契約を結ぶという明るいニュースもあり、今後の活躍を楽しみにしています。
日本人への指導経験もあるお2人から見た、ローカル選手の違いは?
加藤・・・素直な子が多いです。指導者を尊敬してしっかりと話を聞いてくれます。ですが、一生懸命さが少し物足りない気がします(笑)シンガポールでサッカーを身近に感じる機会が少ないせいか、キャリアとして真剣に考えている子は少ないのかなと思いました。
藤本・・・日本人選手は基礎的な部分をできるのに対し、ローカル選手はできること、できないことの差が大きいと感じました。私の憶測ですが、適切な年齢の時に基礎的なトレーニングをしてこなかったからだと思います。しかし、ジャンプ力や瞬発力、身体の強さなど、一芸という点では飛び出ている子もいます。
今後の課題は何でしょうか?
加藤・・・早いうちからもっと強化していかないといけないなと感じます。14歳の子を1年間しっ かりと指導し、15歳になったときに試合で勝負 できる選手に育て上げるのが理想です。2年間 教えることに加え、選手としてのマインドが身 につけば、どんどん上達していきます。
藤本・・・今指導している16、17歳の選手達は、 プロ目前の年齢ですが、プロに必要な要素を短い 期間で身につけるのは現実的に難しいです。どこを優先的に教えるのかを見極めることが重要だと思っています。彼らには結構レベルの高いことを要求しているのですが毎回必死に向き合ってくれます。戦術は後でも学べるので、小学校年代の育成コーチにはやはり基礎をしっかりと教えていただけるとすごくありがたいですね(笑)
今後の目標をお聞かせください。
加藤・・・私たちの15チームがシンガポールで1番強いチームになり、アルビの育成が良いと思ってもらいたいですね。外国人枠があるので、 サッカーをやっている日本人が入りたいと思ってくれるようなチームにしたいです。また、サッカーをやっていなくても、チームの存在をより多くの人に知ってもらい、応援して欲しいです。
藤本・・・シンガポールでプロになるならアルビ、と思ってもらえるくらいインパクトのある魅力的なチームにしていきたいです。そして、技術 面だけではなく、アルビの選手は挨拶がしっかりできるなど、振る舞いなどの評価も上げたいです。プレーで言うと、多くの選手がトップチームに昇格すること、年代の代表に選ばれることが直近の目標です。