シンガポールで食べること

～シンガポールで「食べる・料理」時間を更に楽しく大切に～
コロナ禍でおきたベーキングブーム

飲食店の本年度の4月の売り上げは前年比53％止まりと業界の売り上げは大きく落ち込んでいます。6月19日（金）よりコロナ感染症対策がフェーズ2に入り、フェーズ3に移行するまで予断は許せませんが、レストランで外食できるようになり、飲食業界に少し明るいニュースが入ってきました。飲食業界の売り上げが落ち込んでいた一方、食品業界では大きく売り上げを伸ばしていた分野もあります。外出制限の影響で、4月～6月はベーキングがシンガポールでは空前のブームとなりました。
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Google Trendによれば、サーキットブレーカーに入ってからの4月の食品検索ワード1位は「小麦粉」。粉類、イースト、クリーム、クリームチーズ、バター、砂糖は一時スーパーマーケットでは品薄状態が続き、シンガポール大手の製菓材料卸売りPhoon Huatの店舗に、スーパーでの購入が叶わなかった買い物客が押し寄せ、店内に入るまで2時間を擁するような日もありました。同店が、3月にはじめたばかりのオンラインショップでは、1日のオーダーがまったく無い状態から、数百の注文が入るようになり、オンラインショップチームのスタッフは3名から9名にと3倍のサイズに成長するほどの需要高が見られました。また、製粉工場Primaの5月の売り上げは前年比の3.5倍になり、在庫があっても業務用サイズの為、小売り用に販売する為のサイズのパッキングが十分に追い付かず、新しいパッキング機械を導入する必要があった程です。

飲食店からもDIYベーキングキットを販売するサービスも見られました。イタリアンのLUKAからはLuka Pizza kids challenge(2人前S$30)として、子供たちが家で気軽にピザを作れるようなセットが登場。また、卵料理を売りにしていkokonoE Kitchenからは店舗の売りの日本産の卵、ケーキミックス、カップ等全てがセットになったカップケーキセット（S$14.5～）の販売を開始。シンガポールのパティスリー業界の女王、JANICE WONGはプレミックス（S$4.2～）の販売を始めました。

NLBの電子書籍の貸し出しで4月7日～5月3日にトップ10の中にも、レシピ本が2冊入り、うち一冊はベーキング本で、日本人パティスリーシェフの山下シェフの「Tanoshii: Joy of Making Japanese-Style Cakes & Desserts」が7位でした。まだまだ外出も制限付きですから、シンガポールではしばらくベーキングブームが続きそうです。

参考文献：Google Trend、Straits Times、CNA

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ケルニン青木康子 さん

食のイベント会社Spoonful代表。シンガポールでメディアに7年勤務後、「食」を通して人と人、社会と社会をつなぐ食イベントブランドSpoonfulを2014年に企業。ライフワークとして、シンガポール料理の調査、研究を手がける。