2020.01.02
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視覚障害者の料理クラス
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材料に触ってもらい、1人1人に切った後の形状も教えていく。触感を大事に
質問です。「今、目を閉じて、包丁で人参を切れますか?」
私は出来ません。読者の方もそうだと思います。この感覚をもって今日の記事を拝読頂ければ嬉しいです。
先日視覚障害者カフェの案内を頂いたA a r o n氏に誘われ視覚障害者のクラスの見学をする機会を頂きました。会場に着くと、主に学生からなる有志ボランティアが準備を手伝っていました。数量や温度を読み上げる計り・電磁調理器を設置し、道具の配置を決めていきます。視覚障害者用の調理器具というのはまだまだ開発が進んでいなく、まな板等は端に印があるもの等、一般に売られているものを工夫して使用しています。道具で大事なのは「聴覚」「触覚」などの器官にうったえ、調理を補助してくれる物です。
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クラス内で使用した点字のレシピ
ある全盲の男子学生さんの包丁さばきは素晴らしく、ここに来るまでにどれだけ頑張られたのかと思うと、胸が熱くなりました。大げさですが、彼の調理の姿は神々しくて、その光景に涙が出てしまったほどです。メニューは野菜炒め1品のみですが、当然時間はかかり、完成までに3時間を要しました。ただ、言葉を換えれば3時間で一品作れるようになったのです!参加者全員がお互いを敬い、心から調理を楽しむ、笑いの絶えない素晴らしいクラスでした。
今後もクラスではボランティアや協力いただけるシェフを探しています。ご興味がある方がいたら下記までご連絡ください。
クラス主催:Fortitude Culina
ケルニン青木康子 さん
食のイベント会社Spoonful代表。シンガポールでメディアに7年勤務後、「食」を通して人と人、社会と社会をつなぐ食イベントブランドSpoonfulを2014年に企業。ライフワークとして、シンガポール料理の調査、研究を手がける。