2019.09.30
パークビュー美術館が型破りな展示を主催している。「Disturbing Narratives」展では作品の闇の部分を掘り下げる内容となっている。もちろん、万人受けするものではない。
世界が混乱し不安定な今、本能は前進することを選ぶだろう。しかし、この作品展に参加した世界各国の30名のアーティストは、恐怖や不合理などといった負の感情を受け入れ、一歩後退することを鑑賞者に訴えている。もちろん、心地よいものではないだろう。しかし、アートディレクター兼キュレーターのローランド氏は、「畏怖の念を抱くことは、日々の行動を顧みるために要素に必要なことだ」という。
ギャラリー内に足を踏み入れると、アイスランドのアーティストによる2作品のポップアートコラージュが目に入る。Double Wedding (1995) 、With Your Death (1995)と題された作品は一見すると、他のマンガ本のパクリのようだ。しかし、目を凝らして見ると、子供時代の無邪気さを喪失し混同するだろう。
スイスの前衛芸術家によるSculpture in 2 Pieces (2018) は、彼自身の彫刻を展示する方法でオルター・エゴ(他者の持つ自我)というテーマを扱っている。不自然な角度に曲がった体、ぎこちなく配置された数本の手足からは感情の両価性を感じとれる。「私たちは一つの人格によって定義付けられているのか?それとも、社会規範から身を守るために複数の人格を生み出すのか」という人間の存在体験を疑問視するアートワークだ。
性差別をテーマにした作品でもっとも考えさせられる作品は、フランスのアーティスト、オーラン氏のThree-headed Ogoni Mask (2003) 。「文化の盗用」は今日まで闘っている問題だ。そして、彼女は男性の優位性や人種差別などの物議を醸すトピックを扱うことにも躊躇しない。この作品では、美の基準が西洋中心となった植民地主義の影響を見逃すことができない。
これらの作品はまだ序章に過ぎない。A Prisoner in the Caucasus (2009) と題されたビデオアートや、儀式的行動と宗教についてのパフォーマンスを観たい方は39th painting action (1997) という作品が目を引くだろう。視野を広げ、人生を冷笑することは必ずしも悪いことでもないことを思い出すのが、この展示を巡るときのアドバイスだ。「Disturbing Narratives」展は2020年2月8日までパークビュー・ミュージアムで開催される。
600 North Bridge Road, Level 3 Parkview Square, (S)188778.
営:月~土 12:00~19:00 休:日 入場料:無料
出典:City Nomads