2024.09.27
「日本人には独特の美意識があるね!」とシンガポールで言われることが多い。特に、その美意識を表す際に「侘び寂び(わびさび)」という表現がよく用いられる。英語でも、そのまま「Wabi-sabi」で通じることから、世界でも日本文化や美意識の特徴として認知されていることがわかる。
侘び寂びは、慎ましく物静かなものにこそ、趣のある美しさがあると感じる精神性のこと。華やかで色彩豊か、且つ、バランスの取れたものを美しいとする西洋の美的感覚に対して、間や余白、静寂さ、質素さ、謙虚さを重んじる日本を象徴する美の価値観を表している。元々は、禅の影響で生まれた美意識であり、茶の湯の精神から波及して、その後、絵画や庭園、工芸品などに影響を与えている。多くの伝統文化の根本にこの意識があることが、時を重ねて独自の美的感覚を育めた理由と言えるだろう。
最近になって、この侘び寂びの美意識の評価が世界各地で高まっているが、日本人の間でも再評価する動きが進んでいるようだ。
また、日本や日本人について誇りに思うことは何か?という質問に対しては、自然の美しさや優れた文化・芸術を挙げる人が年々増えている。さらに、日本人の義理がたさと回答する人も上昇傾向にある。
内閣府が実施した世論調査では、心の豊かさや余裕のある生活を送ることに重きをおきたいと望んでいる日本人が1988年には約50%であったが、2018年には約61%まで増加している。1980年代以降、物質的には満たされている人が過半数を超え、心の豊かさを重視する生き方を希望する人が多いことが明らかになった。
文部科学省管下の統計数理研究所が実施した国民性調査では、利己的な人が周辺に多いと考えている人の割合は、1983年に62%であったが、2013年には42%まで減少。数々の震災や経済の停滞を経験して、助け合いや協調性を重んじる日本人が増加していることが数値的にも明らかになっている。
調査の結果を見ると、昔からの美意識を日本人の誇りとして近年、再び意識するようになってきているのがわかる。侘び寂びに通じる心の豊かさや思いやりを大切にした生き方、暮らし方が、今後、さらに必要とされる時代となっていくだろう。
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