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2017.02.08

あの人気コーナーがより知的により多彩になってかえってきた! 在留邦人を代表する多読家・安藤浩久が、話題のあの本に快刀乱麻を断ちまくる!あなたの『次の一冊』は、ここにある。


『土の記』上下巻

髙村薫[新潮社]

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過疎高齢化の農村に暮らす老人の日常を描いた作品。会話文の「」まで排するほど極度に抑えた文章は読み難くもありますが、認知症が始まりつつある老人の思考のひだまで描く徹底したリアリズムは見事です。淡々と終わるかと思えた物語の最後にオチがついており、目が覚める思いがしました。


『ヒューマン なぜヒトは人間になれたのか』

NHK スペシャル取材班[角川文庫]

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人間の「心」がどのように発達してきたかを多角的に追ったサイエンス・ノンフィクション。TV番組を基にした作品なので、最新の研究を紹介しながらも難解になり過ぎない程度に解説してくれます。ジャレド・ダイヤモンド『銃・病原菌・鉄』が面白かったという方にオススメしたい1冊です。


『雪煙チェイス』

東野圭吾[実業之日本社文庫]

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東野氏のスノボ好きがあふれた「雪山シリーズ」の最新文庫書下ろし。同シリーズの過去作品と同様にストーリー展開のテンポが良いので、難しいことを考えずに一気に読めてしまいます。物語としての深みに欠ける点は否めませんが、飛行機での移動中などにサクッと楽しむには悪くないはず。


『ビジネスエリートの新論語』

司馬遼太郎[文春新書]

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作家デビューする前の新聞記者時代に本名の「福田定一」名義で書いた著作の復刻版。歴史のエピソードや格言を引き合いに出しながらサラリーマンの心得を綴っています。60年以上前の本なので背景がわかり難い部分もありますが、随所で人間観察の確かさや社会分析の鋭さが光っています。


『反知性主義』

森本あんり[新潮選書]

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アメリカ独特の風土の中で育まれた、知性と権力の結びつきを拒絶する「アンチ・インテリ」的な思考に関する論考。2年ほど前に出版された本ですが、期せずして「トランプ大統領」が誕生した思想的な背景の一端を理解できる内容になっています。現代アメリカを知る上で非常に有益な好著。


『三河国吉田名蹤綜録』

[豊橋市史編集委員会]

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文化3(1806)年頃に出版された名所紹介。有名な『江戸名所図会』をはじめ、江戸期には数多くのガイドブックが出版されましたが、特に目立った観光地もない我が故郷(苦笑)にもこんな本があったところに、世界史上でも類を見ない江戸期の旅行文化の成熟ぶりを垣間見ることができます。


紀伊國屋書店(日本)売上げランキング

【文庫/ 12 月16 日~ 12 月22 日】
※ 紀伊国屋書店サイトから引用

1.雪煙チェイス/東野圭吾 [ 実業之日本社文庫]

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殺人の容疑をかけられた大学生の脇坂竜実。アリバイの証明のため正体不明の美人スノーボーダーを捜しに、スキー場に向かった。それを追うのは刑事・小杉。広大なゲレンデを舞台にどんでん返し連続のサスペンスが始まる!

2.ぼくは明日、昨日のきみとデートする 七月隆文 [ 宝島社文庫]
3.参勤 ‒ 百万石の留守居役8 上田秀人 [講談社文庫]
4.首折り男のための協奏曲 伊坂幸太郎 [ 新潮文庫]
5.殺人犯はそこにいる ‒ 隠蔽された北関東連続 幼女誘拐殺人事件 清水潔 [ 新潮文庫]
6.小説君の名は。 新海誠 [ 角川文庫]
7.埋れた牙 堂場瞬一 [ 講談社文庫]
8.岳飛伝〈2(飛流の章)〉 北方謙三 [ 集英社文庫]
9.水鏡推理〈5〉ニュークリアフュージョン 松岡圭祐 [ 講談社文庫]
10.海賊とよばれた男〈上〉 百田尚樹 [ 講談社文庫]

情報提供:BOOKS KINOKUNIA

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