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2016.12.15

あの人気コーナーがより知的により多彩になってかえってきた! 在留邦人を代表する多読家・安藤浩久が、話題のあの本に 快刀乱麻を断ちまくる!あなたの『次の一冊』は、ここにある。


『はじめてのサイエンス』

池上彰[NHK 出版新書]

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原発問題や環境問題からノーベル賞まで、 現代社会を理解する上で科学の知識は欠 かせません。一般的な科学の入門書とい うよりも、あくまでニュースを読む手助けをすることに力点が置かれているため、科学の成果が社会に与えるインパクトや歴史的な背景まで含めて解説されています。


『貴族探偵対女探偵』

麻耶雄嵩[集英社文庫]

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本格ミステリ大賞にも選ばれた連作推理短編集。謎を解くことを通して人間性を描き出すミステリが高く評価されている風潮の中、戯画的なキャラクターを使ってあ くまでもパズル小説にこだわるトリック最重視の姿勢は嫌いではありません。あま り一般受けはしなさそうですが(苦笑)。


『SMAP とは何か』

関修[サイゾー]

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現代思想の専門家が解散劇で揺れている SMAPを論じた、ジャニーズ愛にあふれる異 色の論考。SMAPがアイドルを超えた「国民的」な存在になったのに対し、嵐が人々にと身近な存在である「市民的」なアイドルになったという論評は納得できなくもありませんが、単なるこじつけのようにも感じます。


『バラバ』

ラーゲルクヴィスト[岩波文庫]

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イエスの身代わりとして処刑を逃れた悪人バラバの後半生を描き、1950年代にノーベル文学賞を受賞したスウェーデンの巨匠による名作。誰も信じず、愛さなかったバラバ が、最期に達した境地とは。ノーベル賞作品なんて難しそうと思われるかもしれませんが、文章も平易で読みやすい作品です。


『聖☆おにいさん 13 巻』

中村光[モーニングKC]

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立川のボロアパートで仲良く“バカンス”中 のブッダとイエスを描いた、アガペー(愛) あふれるギャグ漫画。このトンデモ設定を出オチにせず、よくこれだけネタを考え続けられるものだと感心せずにはいられま せん。上記のようなマジメな作品と合わせて読むとさらに趣が増します(ウソ)。


『MAKANSUTRA SINGAPORE 2017』

[Makansutra (S)]

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ローカルフードの散策には欠かせないグルメガイドの最新版。ここ数年ほど改訂版 が出ていなかったので、てっきりもう出ないものと心配していました。新店もしっかりカバーしているのは嬉しいものの、ペー ジ数が半分近く減ったのにお値段据え置きというのは、ちょっと納得がいきません。


KINOKUNIYA リャンコート店ユキの 週末読書にこの1冊 !

最後の秘境 東京 藝大―天才たちの カオスな日常― 二宮 敦人 [ 新潮社]

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入試倍率は東大の3 倍! 卒業生の半数は 行方不明!?
僕の妻が亀を彫っている、という冒頭から吹き 出しました。東京藝術大学、略して藝大と呼ばれる 日本最難関の国立芸術大学の現役学生であるお 嫁さんをナビゲーターに、ライトノベル作家であ る著者が、全学部・全学科を歩いて回ったノンフィクションです。町工場のような美術学部と、そこに 隣接する厳格なセキュリティで警備されている音楽学部。そこに登場するのは、口笛世界チャンピオンや、日本画専攻の元ホストクラブ経営者など、ありとあらゆる個性が爆発です。学長の絶叫で開幕する学園祭「藝祭」レポートも必見必読。どうやら日本最後の秘境は東京・上野にあるようです。

情報提供:BOOKS KINOKUNIA

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