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2021.08.30

シンガポール国立大学(NUS)語学教育研究センター(CLS)LAJ4203 Newspaper Readingの日本語履修生が、「SDGs」をトピックとした様々な思いを日本語で綴ります。


ドーバーの森を守ろう:都市開発と森林保護のはざまで

シンガポールの国土面積はおよそ728.3km2で、日本のどの都道府県より土地が狭い。そのため、よく「都市国家」と呼ばれる。非常に限られた土地空間が、この国では大切な資源となっている。そのため、土地の利用方法に関して政府が何か判断を下す際は、環境、居住、ビジネスなどのバランスをいつも考えなければならない。だが、経済発展を優先する政策により、過去10年間、シンガポールにある森は1つずつ伐採され、市民と環境保護団体の怒りは沸騰するまでになった。

2021年1月にドーバーの森を伐採する計画が報告され、改めてシンガポールの都市開発について討論会が行われた。ドーバーの森は公団住宅建設のため、開発する予定になっている。それに対し、シンガポールユースボイスなどの環境保護団体は反対の声を上げた。住宅を建てるより、人間と自然が共存できるような「自然公園」を作ろうというドーバーの森を守ための請願もcharge.orgに出された。その請願は、予想以上の13,000もの署名が集められた。それに伴い、クレメンティーなど、他の森も守ろうという声がネット上で広がっている。

シンガポールの経済発展のためには、海外からの労働力は欠かせない。そのため、外国人労働者が居住するための、住居やインフラが必要となり、元々保護されていた地域も開発せざるを得ない。国の緑地政策の一環として、ここ数年間、シンガポールにはポンゴールパックコネクターなどの公園も積極的に作られているが、人工的に作られた公園は動植物の多様性、二酸化炭素の吸収力などの点で自然の森とは全く異なる。個人的には、昨年のサーキットブレーカーの間に、改めて森の大切さを再認識させられた。旅行できない窮屈な状況下で、少なくとも国内に自然環境が楽しめる場所があることは精神的な健康に大きく影響を与える。

居住地と国の経済も重要だが、保護区の森林を伐採すれば、洪水や汚染などの問題にも繋がるだろう。それだけではなく、今の短期的な判断が将来仕返しとなり、地球温暖化など想像できない影響が出る恐れもある。その上、Housing Development Board(HDB)が行った調査によると、ドーバーの森には158種の動物が棲息し、120種の植物もある。シンガポールでしか見られない植物が生い茂り、キガシラヒヨドリとオナガダルマインコなどの絶滅危惧種も住んでいる。開発によって、森が縮小すると同時にシンガポールにしかいない生き物がいなくなる上、住む場所をなくした動物は、食べ物を探しに人間の居住空間までやって来る可能性もある。

ポンゴール近辺には、猪が現れて、人を攻撃する事件が何回も起きた。動物と人間が、これからどうやって共生できるかまだたくさん不安が残っている。

森を守ることは、ただ動物と環境を守ることだけではなく、私たちの未来と繋がっている。ドーバーの森は、シンガポールという「都市国家」の空気と水を維持することに不可欠な役割がある。だから、森を守ることは、自分の命を守ることである。

 


グオ・ジェンハオ (写真左上)
グローバル研究部のグオ・ジェンハオと申します。2021年に卒業することになり、現在マリーナベイサンズのマーケティング部で新入社員として働いております。外国語を学ぶことと卓球をすることが大好きです。日本へ旅行した時一番印象的だったことは日本人のおもてなしです。もともとオリンピックを見に行くつもりでしたが、残念ながらコロナのため行けなくなってしましました。いつか日本へもう一度行って、大阪や東京など行ったことがないところを訪ねるつもりです。