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2021.07.01

会計上の見積り。こういったら納得してもらえた!

 

私は日本から派遣されてシンガポール子会社の責任者を任された駐在員。会社経営などしたことないのに人事・経 理・総務とフル回転。前回で監査法人が決算書作成を手伝ってくれないと言う衝撃の事実を知りました・・・。今回は会計上の見積もりについてまたわからないことが・・・お願い教えて!!

ストーリー
取引先に対する売掛金。当社では1%の引当率を設定して貸倒引当金を設定していますが、監査法人が来て、1%の根拠を聞いてきた。何と答えればいいのだろうか。

不正解その1
駐在員:過去において貸し倒れた実績はほとんどありません。保守的に1%を貸倒引当金として設定して積んでいます。
監査法人:保守的に1%とした根拠を教えてください。

不正解その2
駐在員:当社は卸売業なので、日本の税務上の法定繰入率を適用しています。これはグループの方針ですのでご理解ください。
監査法人:日本の法定繰入率は国際基準では認められていません。また、グループ方針の1%が将来のシンガポールでの予想損失である根拠を教えてください。

不正解その3
駐在員:過去10年の貸倒実績率をすべて計算したら、昔大きな貸し倒れがあったので平均が0.6%でした。四捨五入して、1%の引当金としました。(。。。結構頑張って調べたのでいけるかな。)
監査法人:過去10年の実績が将来の予想損失と考えた根拠を教えてください。

納得された回答
駐在員:過去3年の貸倒実績率をすべて計算したら、平均が0.5%でした。当社の顧客構成や事業はここ3年変化がないのでこの傾向は来期も続くと考えられます。一方で、コロナの影響で支払遅延が起きていますので、来期はこれを上回る貸倒がでる可能性があります。但し、政府の支援が続いていることからそれほど大きく貸し倒れが増加するとも考えられません。この辺りは難しいですが、0.5%程度の増加が適切だと経営者として判断しているので、合わせて1%の引当としました。
監査法人:なるほど。1%が将来の貸倒損失として判断したんですね。経営者確認書にサインしていただければ結構です。

 
⭐教訓! 引当金などの見積もりは経営者の主張。主張しないと認められない。⭐
決算書の注記をよく見ると決算には一定の前提をおいた見積もりが含まれていることが記載されています。また監査報告書にも経営者による見積もりの妥当性を検証したと記載されています。

そのため見積もり項目の説明においては以下のような点が重要になります。
・計算方法を一から監査人に聞かずに主張を作って説明する。
・会計基準を理解し、その要素をすべて入れる。
・データで取りえない部分について、最後は経営者の判断として責任を取る姿勢を見せる。

また、監査人は最終的に決算書を全体的にみて適正かどうかを判断する立場で、個別の引当金の妥当性について意見を述べることはしていません。最後の詰めの部分では最終的に監査意見がでないかどうかを聞くことも重要です。

シンガポールの駐在員に経理および国際会計基準の知識が乏しい場合は、監査法人の対応はかなり厳しいものになる可能性があります。経理のプロを駐在として派遣するか、監査対応を外注することも検討する必要があります。

 

監査法人対応を含め、お気軽にお問い合わせください!


グループ代表/公認会計士
伊藤哲男
Phoenix Accounting Singapore Pte Ltd
フェニックス・アカウンティング・シンガポール
住所:50 Raffles Place #25-03 Singapore Land Tower,(S) 048623
※Raffles Place駅からスグ!
E-mail : Info.sg@px-acc.com