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2021.05.20

シンガポール国立大学(NUS)語学教育研究センター(CLS)日本語履修生が日本語で様々なトピックを綴ります。


シンガポール式のお盆


 旧暦の7月と言えば、日本の方にとっては思い浮かぶのは多分お盆だろう。実は、シンガポールにもお盆との繋がりがある風習があるのだ。これは本来盂蘭盆会として知られ、日本ではお盆、シンガポールや台湾など、中華系の人が多い国では鬼月と呼ばれるようになった。これは昔の中国の仏教や道教に由来し、毎年旧暦7月に地獄の扉が開き、亡くなった人が人間界へ娯楽や食物を探しに戻ってくると言われている。この時、先祖や餓鬼を供養する昔からの風習が沢山ある。
 その一つは、お世話になった先祖へ贈り物をする行事だ。道観やお寺などで売っている紙で作られた洋服、車、家屋、お金などに火をつければ、燃やされた物があの世の物に転じ、先祖の手に入るのだ。そして、この時期に餓鬼を供養するため、様々な食べ物をお香やロウソクと一緒に道路脇に置く風習もある。また、先祖を楽しませるために、ゲタイと言われるコンサートも行われている。面白いことに、誰でもゲタイが見れるが、会場の最前列は先祖の席なので、座ってはいけないのだ。
 シンガポールにはこのような不思議な習慣があるが、年が経つにつれて、昔からの習慣を守る人が少なくなり、鬼月の様々な行事への批判も増えてきた。まず、紙を燃やしたり、お香を焚いたりしたら、大気汚染になってしまうと思う人がいる。目に入ったら痛くなったり涙がでたりし、吸ってしまったら体によくないとも言われている。その上、ロウソクが溶けたら道が汚れてしまい、きれいにするのは簡単なことではないので、公共物汚染になってしまうという批判も出てきた。
 こういう人の意見も分からないわけではないが、昔からの習慣は大切なものであり、本当にやめるべきなのだろうか。もちろん、環境も健康も大事だが、実際にそんなに影響があるのだろうか。そうだとしても、ずっと続いてきた習慣をやめることは、自分の文化を見捨てることになる。本当にやめた方がいいのだろうか。


シュ・エンウェイ
こんにちは! シュ・エンウェイと申します。専門は化学工学で、日本語は4年間勉強しています。これからも日本の生活が体験できるように頑張りたいと思います。よろしくお願いいたします。