• シンガポールで食べること
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2019.10.16

食の廃棄問題は全世界で社会問題として論じられていますが、ここシンガポールの様子はいかなるものなのでしょうか。


【食廃棄問題クイズ】
1. シンガポールで満足に食事を取ることが出来ない人は人口の何パーセントいるでしょうか?

1%   5%   10%

2. シンガポールでのゴミ総量の何パーセントが食品でしょうか?

10%   25%   50%

3. シンガポールの廃棄食品の何割が、再利用されているでしょうか(2018年度)?

7%    10%   17%

答え:1は③、2は①、3は③です。

このクイズでは、多くの人が1の回答に驚かれます。豊かに見えるシンガポールですが、世帯収入が1500ドル未満の家庭は、総人口の15%を占めます。決して貧困と無縁ではないのです。低所得世帯の食品購入の負担は重いことは、容易に想像できます。片や、シンガポールでの食品廃棄は年間7万トン(ちなみに世界全体では13億トン)で、これは一人当たりがご飯茶碗2杯程の食べ物を毎日捨てて、年間でオリンピックサイズのプール1500個分が食の廃棄物で埋め尽くされるほどの容量なのです。この数量は、シンガポールで食べるのに困る人達の糊口を凌ぐ量です。 

2014年時点で、シンガポールの食の廃棄率は過去10年に対して、30%も増加しました。この為、2016年から政府も食のロスを減少させる政策に力を入れはじめてきました。その結果、ここ数年で食品廃棄量はシンガポールではゆるやかに減少しはじめました。この結果はまだまだ良い数値ではありません。ですが、食品ロス問題に取り組んできた政府、個人一人ひとりの取り組みの努力が数値となっていると思います。

私自身も食のイベントを通して、微力ながら「食の廃棄問題」について、4年かけて伝えてきました。まだまだですが、少しつづ食に対する個人の意識が変わってきているとは感じます。

次の回では、実際に、どうこの問題に取り組めるかについてご案内します!



ケルニン青木康子 さん

食のイベント会社Spoonful代表。シンガポールでメディアに7年勤務後、「食」を通して人と人、社会と社会をつなぐ食イベント会社Spoonfulを2014年に企業。ライフワークとして、シンガポール料理の調査、研究を手がける。