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2016.06.20

あの人気コーナーがより知的により多彩になってかえってきた!在留邦人を代表する多読家・安藤浩久が、話題のあの本に快刀乱麻を断ちまくる!あなたの『次の一冊』は、ここにある。


 『羊と鋼の森』

宮下奈都[文藝春秋]

p49_A

音楽を文章だけで表現するために端正な比喩を多用しており、行間から美しい音色が沸き立ってくるように感じました。調律師を目指す主人公の青年が健やかに成長していく様子は読んでいて安心感があります。今年の本屋大賞に輝いた作品だけに、読みやすさは折り紙付きです。

 『佐藤優さん、神は本当に存在するのですか?』

竹内久美子/佐藤優[文藝春秋]

p49_B

キリスト教神学を修めた佐藤氏とゴリゴリの理系脳をもつ動物行動学者の竹内氏による対談本。タイトルどおりド直球かつ挑戦的な質問を投げかけることで、多方面から宗教について論じています。ディべートの達人である佐藤氏が巧みに議論を避ける手管も垣間見えました(笑)。

『ペテロの葬列 上下巻』

宮部みゆき[文春文庫]

p49_C

 過去や現在の社会問題をストーリーの根幹に据えた宮部節満開のミステリ長編。人間の心に潜む闇に伝染していく「悪」が描かれています。ラストの展開は主人公が気の毒でなりません(苦笑)。この結末を想定してここまでシリーズを書いていたのかと考えるとゾッとしました。

 『無名最強甲子園』

中村計[新潮文庫]

BookReview315 (3)

時代小説に6連発式の拳銃を持ったアウトローを登場させてしまう発想が秀逸です。チンピラにしか見えない主人公の行動に最初は抵抗を覚えましたが、読み進むにつれて物語世界にすっかり没入しました。引き締まった文体もハードボイルドな世界観を描くのにピッタリです。

『小説 琉球処分 上下巻』

大城立裕[講談社文庫]

p49_F

沖縄が近代日本に組み込まれていったプロセスを丹念に描いた歴史小説。近代化にひた走っていた明治政府と中世的世界観のただ中にあった琉球では、根本的な思想に大きな隔たりがったことが分かります。現在の基地問題までつながる沖縄の人々の心情を理解することができるはず。


 伊国屋書店(日本)売上げランキング

【文庫/ 5 月2 日〜5 月8 日】
※ 紀伊国屋書店サイトから引用

1. 夢幻花/東野圭吾 [PHP 文芸文庫]

p49_Z 

花を愛でながら余生を送っていた老人が殺された。孫娘・梨乃は庭から消えた鉢植えが気になり、蒼太と真相解明に乗り出す。一方、刑事の早瀬も、別の思いで事件を追っていた……。東野ミステリの真骨頂。第二十六回柴田錬三郎賞受賞作。

2. 64〈上/横山秀夫 [ 文春文庫]

3. 64〈下〉/ 横山秀夫 [ 文春文庫]

4. 世界から猫が消えたなら/川村元気 [ 小学館文庫]

5. 空飛ぶ広報室/有川浩[ 幻冬舎文庫]

6. 七つの会議 /池井戸潤[ 集英社文庫]

7. 高校入試 /湊かなえ [ 角川文庫]

8. 植物図鑑/有川浩 [ 幻冬舎文庫]

9. 村上ラジヂオ〈3〉サラダ好きのライオン/村上春樹/大橋歩 [ 新潮文庫]

10. 吉原詣で – 鎌倉河岸捕物控28 の巻/佐伯泰英 [ ハルキ文庫]


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