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2017.01.12

あの人気コーナーがより知的により多彩になってかえってきた! 在留邦人を代表する多読家・安藤浩久が、話題のあの本に快刀乱麻を断ちまくる!あなたの『次の一冊』は、ここにある。


『げんきな日本論』

橋爪大三郎/大澤真幸[講談社現代新書]

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日本史を古代から近代まで18の疑問をテーマに語り合っています。博学とはいえ専門が社会学のお二人なので、歴史学の見地からすると古さや誤りのある論考もありますが、その短所を補って余りあるほどに日本史を読み解く新たな視点をいくつも提供してくれる知的好奇心をくすぐる1冊です。


『天子蒙塵 1 巻』

浅田次郎[講談社]

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『蒼穹の昴』から続く中国大河シリーズの最新作。まさか新作が読めるとは思っていなかったので、紀伊國屋さんで見つけたときはビックリしました。ラストエンペラー・溥儀の孤独な姿を生々しく描き出すために、離婚した元妻の視点を使うあたりに熟達した浅田氏の筆力の高さを感じます。


『シベリア出兵』

麻田雅文[中公新書]

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日本近現代史における重要な事件の1つにも関わらず、手軽に読める新書や文庫などの関連書籍が少ないシベリア出兵を真正面から取り上げた労作。ロシア革命直後の国際情勢や日本国内の政争を丹念に調べ上げ、日本だけが突出してシベリアに関与していった背景を解き明かしています。


『虚実妖怪百物語 序』

京極夏彦[角川書店]

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故・水木しげる氏や荒俣宏氏、さらに作者本人など“妖怪関係者”が実名で総登場する京極版「妖怪大戦争」。三部作の1冊目なので登場人物も妖怪も顔見せ程度なのですが、軽妙洒脱な語り口と荒唐無稽かつカオスな展開で、読んでいてお腹いっぱいになるほどの濃さを醸し出しています。


『殺人犯はそこにいる』

清水潔[新潮文庫]

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日本の書店による某企画で注目を集めた犯罪ノンフィクションの傑作。鉄壁と思われたDNA型鑑定を崩して冤罪を証明していく過程はミステリ小説顔負けで、ノンフィクションにも関わらず日本推理作家協会賞を受賞したのも納得の迫力です。著者の真摯な取材姿勢にも強く心を打たれました。


『独裁力』

川淵三郎[幻冬舎新書]

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Jリーグ時代から独裁ぶりに批判も多かった方ですが、ここまで開き直られるとアッパレと言うしかありません(苦笑)。分裂していたバスケットボール界をわずか半年で統一させるまでの経緯は、日本では希少なトップダウンによる見事な問題解決のケーススタディとして貴重な事例です。


紀伊國屋書店(日本)売上げランキング

【文庫/ 11 月27 日~ 11 月28 日】
※ 紀伊国屋書店サイトから引用
1. 小説 君の名は。/新海誠 [角川文庫]

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田舎で暮らす女子高校生・三葉は、男の子になる夢を見る。 同じく東京の男子高校生・瀧も女子高校生になる夢を見る。出会うことのない出逢いから、 運命の歯車が動き出す。長編アニメ『君の名は。』の新海誠監督執筆の原作。

2. 珈琲屋タレーランの事件簿〈5〉この鴛鴦茶が おいしくなりますように 岡崎琢磨 [ 宝島社文庫]
3. お断り―鎌倉河岸捕物控〈29 の巻〉 佐伯泰英 [ ハルキ文庫]
4. 破門 黒川博行 [ 角川文庫]
5. 祈りの幕が下りるとき 東野圭吾 [ 講談社文庫]
6. 首折り男のための協奏曲 伊坂幸太郎 [新潮文庫]
7. -X’mas Stories- 一年でいちばん奇跡が起きる日 朝井リョウ/ あさのあつこ/ 伊坂幸太郎/ 恩田陸/ 白河三兎/ 三浦しをん [ 新潮文庫]
8. 疾風ロンド 東野圭吾 [ 実業之日本社文庫]
9. 僕は明日、昨日のきみとデートする  七月隆文 [ 宝島社文庫]
10. 聖の青春 大崎善生 [ 角川文庫]

情報提供:BOOKS KINOKUNIA

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