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2016.10.14

あの人気コーナーがより知的により多彩になってかえってきた!在留邦人を代表する多読家・安藤浩久が、話題のあの本に快刀乱麻を断ちまくる!あなたの『次の一冊』は、ここにある。


『君は憲法第8章を読んだか』

大前研一[小学館]

BookReview324 (1)

改憲論議で焦点になる第9条ではなく、地方自治を定めた第8章(92~95条)こそ改めるべきという論考。道州制による地方分権の促進は著者の長年の持論で、ワタシも学生の時に読んで目を開かされた記憶がありますが、30年たっても実現の兆しがまったくないのはなんとも残念なことです。

『地図趣味。』

杉浦貴美子[洋泉社]

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古今東西のさまざまな地図だけでなく、地形をモチーフにしたスイーツやアクセサリーまで紹介した、地図マニアによるディープな1冊。子どもの頃から地図を眺めるのが好きでしたが、この本を読んで地図の奥深さにあらためて驚かされました。図版が多くて見ているだけで楽しくなります。

『はじめての親鸞』

五木寛之[新潮新書]

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大河小説『親鸞』三部作を完成させた五木氏による親鸞の教えの入門書。「悪人正機」「絶対他力」などの難解な思想を、親鸞が生きた歴史的な背景も描きながら丁寧に解説しています。一般の読者を対象にした講義の再録なので、語り口がやわらかく、とても読みやすい内容になっています。

『ブラタモリ 1 長崎 金沢 鎌倉』

NHK「ブラタモリ」製作班 監修[角川書店]

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地図が好き、歴史が好き、「タモリ倶楽部」が好き、ということで「ブラタモリ」は毎回楽しく観ています(笑)。番組の内容を丁寧にフォローしており、地図や写真も多いため、実際に現地を訪れる際はぜひ持参したい1冊です。何気なく眺めていた街や地図を見る目が確実に変わるはず。

『戦場の軍法会議』

NHK 取材班/北博昭[新潮文庫]

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戦況の悪化とともに裁判の体裁を保てなくなったにも関わらず、数多くの日本兵を死刑に追いやった軍法会議の実態に迫った労作。戦場という非常時における出来事ではありますが、時代や場の空気によって進行していく事態に人々が抗し切れないという恐ろしさは現代でも無縁ではありません。

『真田太平記 全12 巻』

池波正太郎[新潮文庫]

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佳境を迎えている「真田丸」に刺激されて、全12巻を一気に再読。登場人物や設定が大河ドラマとは大きく異なるため、同じ史実を違う角度から見ているようで楽しめました。この勢いにのって『鬼平犯科帳』(全24巻)も読もうかと思いましたが、ほかの本に手がつかなくなるので断念(笑)


KINOKUNIYA リャンコート店ユキの週末読書この1冊 !

仕事マンガランキング&春ドラマ満足度ランキング1位!

重版出来!

松田奈緒子小学館

kinokuniya_ bookreview

マンガを初めて紹介します。どうしてもご紹介せずにはいられなくなりました、こちら8巻まで好評発売中、「じゅうはんしゅったい!」とお読みください。お客様が書店の店頭で手にとる1冊のマンガに込められた想い。編集者とマンガ家をはじめ、マンガ家を支えるアシスタントや家族、ベテランと新人、本を印刷する人や加工する人まで、ひとりひとりの想いが無数に重なり合って描かれる、骨太チーム戦記です!登場するキャラクターも個性豊かで、悪役かな?と思うほど黒い感情むき出しのキャラクターもまた、話が進むにつれ応援したくなる気持ちが膨らむ一方です。主人公の新人編集者は小熊ちゃんという愛称で親しまれているのですが、この愛称にまつわるエピソードもまた素敵でして。本屋をやっていてよかったな、この物語の一端にでも携われるって幸せだな、とひとりで作品の世界に飛び込んでいました。

情報提供:BOOKS KINOKUNIA

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